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脳内にある7つの「感情指令システム」を理解し生き方やコミニケーションに活かす!
私達の脳には様々な機能やシステム、ネットワークがあります。
ボーリング・グリーン州立大学の神経科学者ジャーク・パンクセップは
その中でも特に感情との結びつきが深い
7つの「感情指令システム」という考えを提唱しています。
今回は様々な感情システムを紹介しようと思います。
ゴットマン式コミュニケーション術 ――自己診断テストでわかる改善と対策
今回の内容を動画で解説!
ジャーク・パンクセップの7つの感情システム
パンクセップが提唱した7つの感情指令システムのキャラクターごとに
ワシントン大学のジョン・M・ゴットマンが分かりやすく
「名称」をつけているのでそちらをご紹介します。
- 指揮官(支配/コントロール)
- 探検家(探索/発見)
- 衛兵(身を守る/警戒)
- エネルギー管理(エネルギー消費の調整/休養/くつろぎ)
- 官能(性的な満足/生殖)
- 道化師(息抜き/気晴らし)
- 母性(ふれあい/絆づくり)
パンクセップはこのような感情指令システムは
この7つ以外にも有ると考えていますが
全ての哺乳類の脳に存在するという結論が得られたのは今の所この7つだけだとしています。
全ての哺乳類に有るということは
私達の祖先も進化のプロセスで獲得し、私達の脳にも備わっている
可能性が極めて高いうことです。
7つの感情指令システムとその特徴
7つのシステムの特徴や関連する感情/行動
不健全に機能してしまった場合や活性が低すぎるとどうなるかについて
それぞれ簡単に紹介していこうと思います。
①指揮官
支配/管理/権力に関わるシステムです。
このシステムが活性化する時
指揮官システム
- 制約から自分を解き放つ
- 状況をコントロールする
- 行動を他人に強いる
- 物理的な脅威にさらされる
- 目標達成を邪魔される
- 不当な扱いを受ける、など
競争が強調される環境では
- 自信を持って挑戦できる
- しっかり自己主張できる
など役に立つ場面が多いと想定できるシステムです。
逆に、このシステムが不健全に機能してしまった場合は
欲しいものを得るため
不健全に機能
- 怒りや攻撃、時には暴力を表現する(活性過度に高い)
- 自分を無能と思う、鬱屈してやる気がなくなる(活性過度に低い)
- 不当な扱いや個人攻撃に対して無力になる(活性化度に低い)
②探検家
このシステムは探索/学習/好奇心を満足させる機能を持ちます。
探検家システム
- 新しい場所に行ってみる
- 面白い動画をネットで探す
- 新しいことをやってみる/習う
- 新しい人間関係を構築するなど
そのほかにも
疑問を持つ/探す/処理する/選別する/計画を立てる/学習する/目標を設定する
などの行動にも関係しているようです。
このシステムが最適レベルで働いていれば
- 未知のものに対する興奮/高揚感/興味
- 目標に近づいた時の達成感
- 知識欲や学習を楽しむ
などを感じ人生に豊さや刺激をもたらしてくれます。
過剰や過小に機能してしまった場合は
不健全に機能
- 探究心に駆り立てられ疲労しても進もうとする
- 過剰な探究心が躁病的な行動と診断されることも
- 不活性では退屈/イライラ/落ち着きなく/不安や抑うつ状態に陥る
③官能システム
性的な満足や生殖に関わるシステムです。
日本では特に表現するのをよしとしない傾向があるように感じます。
性ホルモンと関係し、様々なリスクある行動を取る場合や
多種多様な身体的反応とも関連しています。
健全に機能すれば
- 活力がみなぎり
- 人生の幸福感や満足感、快楽を得られる
ですが過剰/過小になった場合
不健全に機能
- 性行為の強要など不適切な行動
- 性的リスクのある無防備な行動
- 浮気による人間関係の影響
- 過小でもレスになって関係が崩れたり
- 自分を閉ざすことで抑うつ的になることもある
④エネルギー管理
エネルギー消費の調整、くつろぎなどと関わり
健康を保ち、運動、休養や栄養をとるようにするシステムです。
活動の途中で
- 疲れた
- 退屈になってきた
と感じるのはこのシステムからの信号です。
この信号を無視して活動を続けると
イライラしたり長期的には免疫力の低下や慢性病などしんこくな問題に繋がります。
- 空腹/喉の渇き
- 暑い/寒い
などの肉体的な不快感を知らせるのもこのシステムです。
またリラックスできる活動を選んだり計画する
休養や睡眠を取る際の安堵(あんど)する感覚もこのシステムによるところのようです。
このシステムが最適な場合
- ストレスが過度にならず/活動も適度
- 心身ともに快調でいられる
過剰な時は
疲労やストレス/衣食住/体重などを気にしすぎて
逆に不眠症や摂食障害などの問題をひきおこう場合があるようです。
また活性が過小な時は
不健全に機能
- 疲労が限界に足しているのに活動を続けたりオーバーワークになる
- ストレス過多、抑うつ、栄養不良や肥満、免疫不全
などを起こす場合もあります。
⑤道化師システム
遊びやレクリエーション、気晴らしなど、息抜きや、気晴らし
などの機能を調整するシステムです。
非常に重要ですが世間ではあまり「意味がないこと」と受け止められている傾向があるようです。
- ゲームや娯楽を求める、スポーツする
- 冗談を言う、ごっこ遊び、ふざける
といった行動と関連しています。
レクリエーション=(再創造)と言うように
- 遊びを通じて創造力を蘇らせる
- 気分を軽くする
- 遊びを通じて絆やチームワークを深める
- 創造的に問題を解決する能力に磨きがかかる
- ストレス解消に役立ち健康上のリスクを軽減する
などのメリットがあるようです。
特に子供時代では
- 複雑な人間関係への対処法を学ぶ
- 極度な興奮などの感情制御の仕方を学ぶ
などの機会になり、大人にとっても重要な活動です。
ですが最近では「遊び」が「競争」にすり替えられてしまっていると
指摘する科学者の方もいらっしゃいます。
最適に活性していれば
リラックスと適度な刺激の
=気持ちが落ち着き、かつ明るさ、喜び、高揚感を感じる状態になります。
過剰になると興奮が高まりすぎた状態になり
馬鹿騒ぎや躁病的な行動になる場合もあるようです。
不活性の場合は感情を押し殺し、無気力で、感情が麻痺したような抑止状態になります。
⑥衛兵システム
不安/心配/自己防衛/用心といった心身の機能を司るシステム
で生存と関わりがあります。
このシステムが働くと、危険を敏感に察知、予測したり
それに対応する行動を取るようになります。
この衛兵システムは特に生命の危機と直結するような事態に対し
神経系統を刺激して「逃げるか闘うか」のアクションを置けせる状態にしてくれます。
このような状況では衛兵システムは指揮官システムも呼び覚まし
怒り/攻撃するように奮い立たせる場合もあります。
最適なレベルでは
適切な安全策をとり危険を避けることで不安を解消する働きをします
過剰な場合は
根拠のない不安にかられたり、異常に心配してしまう場合があります。
極端になると
過剰に機能
- 被害妄想、恐怖症、強迫観念
- 神経過敏、不安症、過剰防衛
トラウマ的体験の後、長期間パニックになったするPTSDもその一つです。
活動が過小の場合は
過小な場合
- 慎重さを欠き無謀な行動に走る、向こう見ずな行動
- 生命を脅かすような危険なゲームや行動を繰り返す
- 必要最低限の注意を怠る
などに繋がります。
⑦母性システム
親子関係の他にも友人同士、夫婦関係、仕事仲間、学校や地域などの
コミュニティで機能するシステムで
- 相手の成長を見守る
- 相手の要求に耳を傾ける
- 愛情を表現する
- 育てる/世話する
など、慈しむ/絆を結ぶなどの行動や感情を司るシステムです。
最適レベルでは絆づくりなどと関わり
- 周囲の人に必要とされ、愛されているという充実感をもたらす
- 支えになるような関係を育むのに役立つ
- 他者との繋がりを実感できる
- 帰属意識を持てる
- 自分の価値を感じる
などで機能します、また。
- 死別や離別
- 恋愛関係の破局
- 友情にヒビが入る
- 好きな人の態度で傷つく
- 喪失と悲しみを経験する
などの場面でも活性化し、胸が痛むのもこのシステムの働きだと考えられるようです。
このシステムが過剰な場合
過剰な場合
- 自己犠牲的になってでも他者に尽くす
- 他人の内面に踏み込みすぎる
- 決断ができず、絶えず他者に同意を求める
- 関係が壊れることを異常に恐れ別離に直面するとパニックになる
- 恨みつらみに変わったり、自己犠牲が重すぎて関係が崩れる
逆に活性が過小の場合は
過小な場合
- 人付き合いを避ける
- 孤独になる
- 喪失(そうしつ)や悲しみがなかなか癒えない
- 結果気持ちが落ち込み慢性的なうつ状態や絶望に陥る場合も
まとめ
今回ご紹介した7つのシステもは人間以外の哺乳類にも見られるとジャーク・パンクセップは解説しているようです。
自分がイライラしたり不満がある時
現状に満足できなかったり、退屈している時
逆に疲れや刺激過多、不安を感じている時に
7つのシステムを自分にとって最適なレベルに調整することを意識してみるのもいいかもしれません。
次回は7つのシステムについての補足やパートナーとの関係に活かすためのヒントなどを解説しようと思います。