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HSP=敏感さんが感じやすい親密さに対する恐怖心と対策を解説
HSP=敏感さんという言葉を最近良く耳にすると思います。
HSP=敏感さんとは
「生まれつき、もしくは後天的に人より特に敏感な気質の人」
のことです。
今回はそんなHSP=敏感さんがパートナーとの親密さに対して感じやすい恐怖心について
HSPという概念の生みの親でも有るエレイン・N・アーロンさんの話しをもとに解説します。
ありのままの自分を出して拒否されることへの恐れ
パートナーに対してありのままであろうとすることは
ありのままを見せる不安
- かっこ悪い
- 愚か
- おぞましい
と思われるような所を見せてしまう恐れがあります。
そして、人は誰しも暴かれることを恐れる部分が沢山あります。
- 欲望
- 妬み
- 無知
- 小さな嘘
- 気まずいこと
- 激しい不安
- 後ろめたさ
HSP=敏感さんは特に、自分が敏感であることがバレることを怖れます。
アーロンによると、そんな時は
自分は人の欠点をどのように捉えているか考えてみる
のがオススメのようです。

他人の欠点を許せているなら、自分の欠点も受け入れられることが想像しやすいからです。
そして、自分の敏感さを相手に伝えることは長期的な関係において必要なことだとしています。
敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術 (フェニックスシリーズ)
怒りによる攻撃への怖れ
怒りはHSP=敏感さんにとって特に強い刺激になります。
HSP=敏感さんは怒っている人を見るだけでも強い影響を受けるので
自分が怒る、怒られる当事者になるとあっという間に刺激の最適レベルをオーバーし
気持ちが圧倒されてしまいます。

HSP=敏感さんは人一倍、向けられた怒りや言葉を深刻に捉えてしまいます。
なので、怒りについては
「道徳的な怒り」とそれ以外の怒りを区別する
のがオススメのようです。

それ以外の怒りは
怒りを区別する
- ただの攻撃
- 勝ちたいだけの怒り
- 相手を撃沈させたいだけの怒り
など、本来親密な関係には存在しない怒りです。

それに対して「道徳的な怒りとは」
=親密な関係には必要なもので、相手のことを思っての怒りです。
例えば

という約束を忘れていた時に、相手から起きる怒りは道徳的なものです。

HSP=敏感さんは怒りという感情に特に敏感なので
メッセージを伝える時に怒りを使用しないでほしいと相手に伝えるのがオススメのようです。

「止めてほしいことがあるなら、イライラせずに伝えてほしい」
「きつい感情表現をされると具合が悪くなるだけだから止めてほしい」
とアサーションを意識して伝えてみるのがオススメのようです。
見捨てられる不安
HSP=敏感さんは大切な人との死別を想像するだけで恐怖を感じ
交際の破局であっても、自分の一部を失ってしまったかのように
命を切り裂かれるようにとても辛く感じます。

それは意識しているよりもとても大きく影響することが多いです。
HSP=敏感さんはパートナーの裏切りを密かに怖れていることが多く
実際に裏切られてしまい
人を信じられなくなったり
嫉妬や復讐の念に駆られ何年も引きこもってしまう人さえ居るようです。

見捨てられる不安は「依存し過ぎる」のを恐れるという現れ方をする場合もあります。
アーロンはこの恐怖に対するアドバイスとして
見捨てられ不安対策
- 相手と真正面から向き合うこと
- リスクがあっても親密さをとるのがおすすめ
- パートナーと一緒になる前の自分を振り返っておくこと
などを挙げています。

人間は無意識を完全にコントロールすることは出来ず
パートナーも、そして自分も突然相手を裏切ってしまう事があると認めること。
そして、裏切られることへの恐怖で最もマイナスな

「自分は愛される価値のない、裏切られて当然の存在だ。生きていく力も資格もない」
と思って自分を愛せなくなり悪循環に陥ることを避けるためにも
一人でいた時の自分にもちゃんと価値が合ったことを振り返ることをすすめています。
コントロールを失うことへの恐れ
HSP=敏感さんは
「自分でない」相手に無意識に踏み込まれる体験をすると不安になる場合があります。

HSP=敏感さんには「これは自分、これは自分でない」という感覚
=境界線が特に必要になります。
しかし、恋愛に落ちるということは、パートナーとの境界線を少し壊されることでもあります。
相手と親密になり心身ともに近づくと刺激がオーバーしてコントロールを失うのではないか
という恐れを感じる方がいらっしゃるようです。

また幼少期の体験などで、コントロールできない刺激を恐れる心理が強まる場合もあるようです。
アーロンはアドバイスとして
刺激と境界を意識する
- 自我の境界をしっかり持つこと
- 刺激の最中でも休息すること
- 強すぎる刺激は正直に伝えること
などをすすめています。

HSP=敏感さんの中には
- 目を覗き込むこと
- 裸を見られること
- 急に抱きつかれること
- 長いキスやセックス
- 深夜まで愛を語り合う
などは刺激が強すぎると感じる方もいらっしゃるようです。
「それらの刺激が強すぎる」こと
「それでも好きな気持は変わらない」ことをしっかりと伝えるのが良いそうです。
攻撃・破壊衝動への恐れ
少し抽象的で難しく感じるかもしれませんが、アーロンによると
カップルが「全てが1つになるような感覚」を得た時、様々なものが統合され
その中に自然と怒りや攻撃性も含まれると解説しています。
そのため
- 喧嘩中
- 情熱的な瞬間
- 空想・妄想をしている時
などに、愛するパートナーに対して自分の
パートナーに対する自然な攻撃性
- 攻撃性
- 破壊性
- サディスティックな衝動
などを感じて混乱することもあるそうです。

このような抑圧された衝動の全エネルギーが相手を傷つけてしまわないかと感じ
無意識に親密になるのを避けるケースがあるそうです。
HSP=敏感さんはこのような深い、半ば本能的欲望に気が付くこともあり
これらの感情が湧いたことを悪いことだと思ってしまって感情を押しつぶしてしまうことも有るようです。

アーロンのアドバイスは
攻撃性に対するアドバイス
- 純粋なストレスや苛立ちで残虐な気持ちが湧いた時は、その感情が圧倒的になる前に、怒りを表現していいこと、怒れないならその原因を突き止めること
- 怒りが防御からの場合はワークを行って自我を強めていく
- 相手が実際にあなたを傷つけようとしている場合は、親密な関係ではこれを我慢するべきでない
- HSP=敏感さんは社会性も高いため、攻撃的・破壊的な本能が自分の中にあってもそのまま行動するわけではないので安心すること
HSP=敏感さんは相手の気持ちの変化によく気がつく分
いい人でいようと攻撃性を全て押し隠そうとしてしまうことも有るようです。
アーロンは
攻撃性を見つめ直す
- 自分の攻撃性を出したらどうなるか再評価すること
- 自分の破壊力を過大評価してないか考えること
また、攻撃性を深く探ってみれば
目的が有ること、価値があることにも気づくと指摘しています。
相手に飲み込まれることへの恐れ
HSP=敏感さんは
相手の求めにも、相手の無意識にも同調しやすいので、しっかりと境界を持たないと
求めや痛みに吸い寄せされたり、同情心につけ込まれたり
自分を見失うのではと不安になりがちです。
- 「自分は自分」という境界線
- 安心感
- 自己肯定感
などが低ければ、相手に飲み込まれてしまう不安も大きくなるようです。

カップルとの関係においても「相手を喜ばせないといけない」
というプレッシャーに自己犠牲的になり押しつぶされてしまいます。
特にHSP=敏感さんは、非HSPの方より「自分の時間」を必要としています。
なので「ずっと一緒にいる」だけでも
飲み込まれる不安が=「相手からの影響を受けすぎることへの恐れ」
として現れることも有るようです。

アーロのアドバイスは
- 自分を飲み込んできた過去の体験や人物を今のパートナーに投影していないか考えてみる
- 今のパートナーが自分を本当に飲み込もうとしているのか考えてみる(多くの場合していない)
- 「もっと一緒に居たい」などの要求に対して話し合い、自分が望む刺激のレベル、1人での休息が必要なことを伝える
自分にとって必要なことをパートナーに伝えられる
パートナーもそれを受け入れてくれると分かった時
飲み込まれる恐怖心も和らぐことが有るようです。
コミットメント(約束)への怖れ(落ち着きたくない)
この場合のコミットメント(約束)とは=交際することや結婚すること
特定の一人と「付き合う」「恋人」「夫婦」などの関係を約束することのようです。

アーロンいわく
コミットメントへの恐れ
- 過干渉な親を持った人もコミットメント(約束)を恐れる
- ナルシストは、誰かを必要としていることを認めることになるからコミットメントを怖れる
- 「HSS=刺激を求めている人」は自由を奪われ、退屈することを怖れている
そうです。
HSP=敏感さんは上記の理由以外に
「間違った選択をすること」に対する怖れが大きいようです。
HSP=敏感さんは一人の相手に腰を落ち着ける前に
長い時間をかけてよく考えようとしするようです。

またHSP=敏感さんは「相手に対して責任を負うこと」にも不安を感じるようです。
責任を追うことへの不安
- お互い相手を間違えていないか
- 相手を裏切らないか?傷つけやしないか?
- この人に依存されたらどうしよう?
などと考えるようです。

アーロンは、この恐れに対するただ1つのアドバイスは
「自信を持って決められないことも有る」認めてしまうことだ!」
としています。
どこかで前に進む決心をしなければ
何もしないこと自体が1つの結果になってしまうからです。
それでも不安が強い時は「ひどい間違いを犯したときどうするか」
出口を心のなかに用意するのがいいとすすめています。

「相手に対して責任を負うこと」に対する不安については
- 境界線を意識し相手と離れることと1つになることのバランスをとること
- お互いの長所を楽しむのは、相手の需要を満たすためではないこと
- 助け合うことは「義務」では無いこと
心からお互いを幸せにできれば素晴らしいことですが
相手を不機嫌化からすぐ上機嫌に回復させるのは自分の義務ではないし
相手の権利でもないこと

などを認識することで健全な依存、相互依存が育まれるそうです。
大切なのは
相手を助けられる気がしない、気が向かない時は
相手が手助けなしで問題を解決するまで距離を置くことだそうです。
些細なことで嫌ってしまうことへの恐れ
HSP=敏感さんはあらゆる種類の些細なことに煩わされます。
敏感さんが煩わされること
- くしゃみの仕方や食事の時などの生活音:音
- 寝る時の部屋の照明:光
- 体臭:匂い
- 話しかけているのに、片手間に聴くなどの対応
HSP=敏感さんの中には、心のどこかで、こんなことにイライラするのは自分だけだと感じ
そのイライラがパートナーに影響することを怖れている人もいらっしゃるようです。

更には、些細なことに対する反応を
「相手を本当に愛せないこと」と取り違えてしまうケースも有るようです。
相手に近づくと葛藤が起きるので「自分はこの人を愛せない」と感じてしまいます。
イライラを相手に話せずに接し続け

などの気分になってしまう場合もあります。

その結果、HSP=敏感さんは我慢し続けるか、相手を拒絶してしまい

と思いつめ、親密な関係から遠ざかってしまうのです。
そんな方に対するアーロンのアドバイスは
「自分は人一倍敏感だから、小さなことでイライラするのは当然!」
と受け入れることだそうです。
自分の敏感な気質を受け入れ、愛せるようになることで
自分と異なる相手の気質も愛することが出来るようになるとアドバイスしています。

またイライラしてしまうことを相手に伝えること
場合によっては繰り返し伝え、生活の中でイライラの原因が起きにくくするように工夫をこらすことが必要な時もあるかもしれません。
ですが、HSP=敏感さんにとって、煩わされない生活を求めることは
至って普通の望みなので恐れる必要はないとアドバイスしています。
5人に1人いると言われている「生まれつき特に敏感な人=HSP」
カップルの場合36%の確率でどちらかがHSPです。
自分、相手の敏感さの違いを理解するため、多くの人にとってカップル関係の必読本です!
まとめ
今回の記事を読んで、自分にも当てはまることが有る
共感できる部分が有ると感じる方は是非アーロンの本を
全体を通してお読みになることをおすすめします。
HSP=敏感さんはその場のテクニックで問題をやり過ごすより
しっかりと「敏感」な気質を理解して
生活全体、人生を通して「敏感さ」と向き合っていくことでかなり過ごしやすく
対人コミニケーションなども円滑になっていくからです。