皆さんもよく耳にする栄養素マグネシウム、サプリメントでわざわざとる必要があるのか疑問に思われるかもしれません。
しかし、マグネシウムは身体中の様々な働きと関連があり、かなり多くの効果が報告されています。
今回はマグネシウムの知られざる効果、飲み方、注意点などを解説します。
目次
マグネシウムの効果や副作用、お勧め商品を解説!睡眠や血管、脳機能改善など
なんとマグネシウムは体内におけるさまざまな生化学反応(タンパク質合成、筋肉や神経の機能、血糖や血圧のコントロールなど)を制御してする300種類以上の酵素系の補助因子です。
厚生労働省は成人男性で一日400㎎のマグネシウムの摂取を推奨していますが、これは、ほうれん草のような葉物野菜を毎日しっかり食べないとクリアするのが難しい水準です。
マグネシウムの推奨栄養所要量
年齢 | 男性 | 女性 | 妊婦 | 授乳婦 |
---|---|---|---|---|
生後0~6カ月 | 30 mg* | 30 mg* | ||
7~12カ月 | 75 mg* | 75 mg* | ||
1~3歳 | 80 mg | 80 mg | ||
4~8歳 | 130 mg | 130 mg | ||
9~13歳 | 240 mg | 240 mg | ||
14~18歳 | 410 mg | 360 mg | 400 mg | 360 mg |
19~30歳 | 400 mg | 310 mg | 350 mg | 310 mg |
31~50歳 | 420 mg | 320 mg | 360 mg | 320 mg |
51歳以上 | 420 mg | 320 mg |
(表:厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』より)
またマグネシウムは汗とともに外に流れ出てしまうため、夏場や運動に取り組んでいる人は意識して摂取したいところ。
食事で取るのが理想的ですが、不足してしまうところはサプリメントを活用するのもお勧めです。
マグネシウムの持つ力の一部にはなりますが早速紹介していこうと思います。
マグネシウムの効果①心臓疾患と脳卒中リスク低下
マグネシウムを摂取すると有意にリスクが下がる報告が多いのが心臓疾患と脳卒中です。
主に高齢者のかかる病気なので関心が薄い方もいらっしゃるかも知れませんが、心疾患や脳の病気リスクが下がるということは血管や血流に良い影響があるということになります。

45歳~64歳の白人およびアフリカ系米国人の男女14,232人を平均12年追跡調査し、血清マグネシウム濃度が最上位のグループと最下位グループを比較した実験があります。
それによると最高位郡は最下位群より心臓突然死リスクが38%も低いという結果でした。

さらにアメリカで88,375人の女性看護師を対象に、マグネシウム摂取量が心臓突然死と関連があるかどうかを、26年間追跡期間した調査があります。
その結果も、最高位グループの方が、最下位グループよりもマグネシウム摂取量で比較した場合は34%、血漿マグネシウム濃度で比較した場合は77%も心臓突然死のリスクが低かったのです。
7件、総勢241378人を対象とするメタ分析では食事に1日あたり100㎎のマグネシウムを追加すると脳卒中のリスクが8%低下するという報告があります。

マグネシウムは直接ではなく、どうしても補助因子なので、どの研究もマグネシウムが一番の要因だと断定仕切れない面はありますが、マグネシウムに関する実験規模の大きさと注目度を感じますね。
最近ではマーストリヒト大学の、51名の男女を対象にした実験でマグネシウムは硬くなった血管を柔らかくしてくれる可能性を示唆する結果が出ています。

そうなると血圧も下がりそうだと思割れる方もいらっしゃると思います。
マグネシウムと血圧の実験も結構あるのですが、良くてもほんのわずかしか低下しておらず、良い結果のものでも5mmHG程度のようなので、血圧低下に関しては現状そこまで期待できないようです。
マグネシウムの効果②骨粗しょう症
骨粗しょう症は年配女性の悩みだと思っていたら大間違いで、女性の骨密度低下の始まりは、なんと28歳から、年々1%ずつ骨密度が減少し65歳ごろに大体30%低下してしまいます。
アメリカでは転んで腰の骨を折る大怪我で病院に運び込まれる方が年間180万人いらっしゃるそうです。

中でも股関節を骨折した高齢者は生活水準が著しく低下するため悲惨な結果につながりやすく、骨折から1年以内の死亡率はなんと20%にもなるそうです。
そこで骨を強くするのにお勧めなのがマグネシウムです。
マグネシウムは骨芽細胞および破骨細胞の活性に影響を与えて骨形成に関与しています。
また男女ともマグネシウム摂取と骨密度との間に関連性があることが認められています。

加えてマグネシウム不足が骨粗しょう症のリスク要因だと示唆する研究も多いです。
骨にはカルシウムが重要だと思われる方も多いと思いますが、カルシウムは過剰に摂取しても期待するほど骨は強くならないとする報告も多く

最近ではカルシウムの過剰摂取が心臓疾患のリスクをかなりあげてしまうとする報告も多くなっているようなので、カルシウムは食事から500㎎程度取れれば十分です。
栄養で骨を強くするなら食事で適度なカルシウムと十分な量のマグネシウム、あとはビタミンDを取るようにしましょう。
ビタミンDを摂取しているならマグネシウムは必須
過去の記事でも紹介しましたが、現代人は日光浴不足で、日に当たると体内で生成されるビタミンDが不足しています。
ビタミンDは体内でホルモンのような働きをしており、細胞に増殖を促したり(美肌効果も)免疫システムや記憶などの脳機能、メンタルとも関連しているとても大切な栄養素です。
そのとても大切なビタミンDはなんとイギリス政府が国民に摂取を推奨しているほど。
特に室内仕事のデスクワーカーの9割が不足している栄養素ですので、最近はサプリで補う方も多くなってきました。
ですがルワンダ大学の研究によると、ビタミンDを摂取しても効果がほとんど発揮されない人達がいるとのこと。

どんな人が効果を期待できないかと言うと、それはマグネシウムが不足している人達だったのです。
冒頭でもマグネシウムは300以上の酵素の補助因子だと説明しましたが、マグネシウムはビタミンDの代謝にも深く関わっています。
マグネシウムの効果③生理痛や偏頭痛
2018年アメリカ国立衛生研究所がマグネシウムに関する過去の研究をレビューしたところ、生理対策への有効性が示されました。
- マグネシウムはPMS(月経前症候群)の気分低下を改善
- 腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん=お腹の張り)や胸の張りなども軽減
- 生理の頭痛も和らげる
どうして痛みに効くのかというと、マグネシウム欠乏症は、神経伝達物質放出や血管収縮などの頭痛を助長する因子と関連しているからだと言われています。
米国神経学会と米国頭痛学会の最新ガイドラインでも、マグネシウム療法は片頭痛予防に対して「おそらく効果あり(probably effective)」とされています。

複数の機関がらマグネシウムと痛みに関する報告があるのでおそらく効果がありそうですね。
気を付けたいのは偏頭痛の実験で使用されたマグネシウムの量は600㎎と多いです。
日本の厚生労働省が推奨するサプリでのマグネシウム1日摂取上限目安が350㎎ですので、偏頭痛治療目的のマグネシウム大量摂取はお勧めしません。
サプリでの一日摂取量を守り、頭痛が起きた時に飲むのではなく、継続してマグネシウムを摂取してみましょう!
マグネシウムの効果④脳機能や睡眠、不安
体内の50%~60%のマグネシウムは骨にあり、残りの大半は筋肉、血液、血管、腱、靱帯などの軟部組織(なんぶそしき)に、中でも心臓と脳細胞に多く存在しています。
マグネシウムは脳で記憶を維持するお手伝いをしたりメンタルにも影響しているので不足し始めると脳機能低下やメンタルが崩れてくるのも納得ですね。

マグネシウムが睡眠の質を向上してくれる実証例も多くありますが、それは寝ている間に脳が記憶の整理などを行ったり、メンタルが整い気持ちよく眠れる手助けをマグネシウムがしているからかもしれません。
マグネシウムの睡眠改善効果が示された実験では320mgのマグネシウムを7日間飲み続けていましたので参考にしてみてください。
使用上の注意や副作用
初めに過剰摂取についてですが、マグネシウムは多く取りすぎても腎臓からおしっこの中に出て行ってしますのであまり問題はありません。
また一日5000㎎以上取り続けると中毒症状が出ますのでサプリを何十錠も一気飲みするのはやめましょう。
またマグネシウムを多く摂取すると少し気持ち悪くなったり下痢をされる方がいます。

この症状は小腸や大腸で吸収されなかった塩類の浸透圧活性と胃の運動促進によって生じるものですので、服用をやめたり、量を減らしてみましょう。
下痢をされる方はそんなに多くはないと思いますが、下痢を引き起こしやすいマグネシウムは、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウムおよび酸化マグネシウムです。
マグネシウムは沢山の種類がありますが、吸収率で考えたらクエン酸マグネシウム(キレート)を買っておけば間違いないそうなのでお勧めです。
厚生労働省が発表しているマグネシウムのサプリメント摂取上限量は9歳以上の男女で350㎎ですので目安にしてください。
マグネシウムサプリメント許容上限摂取量
年齢 | 男性 | 女性 | 妊婦 | 授乳婦 |
---|---|---|---|---|
生後0~12カ月 | 設定なし | 設定なし | ||
1歳~3歳 | 65 mg | 65 mg | ||
4歳~8歳 | 110 mg | 110 mg | ||
9歳~18歳 | 350 mg | 350 mg | 350 mg | 350 mg |
19歳以上 | 350 mg | 350 mg | 350 mg | 350 mg |
表:厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』より
まとめ
マグネシウムは体内300以上の酵素と関わっているため不足すると様々な影響が出てきてしまいます。
逆に補うと思ってもみなかった効果があるかもしれませんね、汗をかきやすく食欲が落ちて栄養が偏る夏場には特にお勧めの栄養素です。
- マグネシウムは300もの酵素と関わりを持つ重要な栄養素
- 血管の状態を改善し特に心臓疾患や脳卒中のリスク低下が期待される
- 骨の形成やビタミンDの代謝などと関わりが深い
- 脳機能や眠りの質を向上させる
- 下痢に注意、クエン酸マグセシウムがお勧め