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自分に優しくする能力!セルフコンパッションの鍛え方
セルフコンパッションは日本では聴き慣れない言葉だと思います。
コンパッション(Compassion)は「同情、共感」という意味で、セルフコンパッションは「自分を受け入れ優しくする」という意味があります。
現代社会では、ミスは許されず、完璧を求められ、自己批判に苦しむ人が増えています。
ですが、私達は今ほど自分に厳しく、自分を批判する必要があるのでしょうか?
セルフコンパッションは時に自分への甘え、怠けなどと混同されてしまう事があります。
しかし、実際は自分を許したり、優しく接する人の方が、結果として能力も高い報告が多いです。
厳しいやり方を続けて上手くいかない時、自己批判が強まった時、新しい挑戦をする時、セルフコンパッションを取り入れてみてはいかがでしょう。
セルフ・コンパッション―あるがままの自分を受け入れる
セルフコンパッション3つの構成要素
セルフコンパッションはよく「自分自身と親友のように接するありかた」と表現されます。
そんなセルフコンパッションを鍛えるために次の3つのことを意識しましょう。
- 自分に対する優しさ=批判的・判断的な態度を取らずに、優しく思いやりのある態度をとる。
- 繋がりを感じる=孤独感や疎外感、苦しみを感じることなく、生きる上での人との繫りや、繋がりを求める人間性、世界との繫り、悩みや失敗は皆んなに共通することを自覚する。
- マインドフルネス=苦痛を無視したり、誇張することなくありのままに自覚する。
この記事に良く出てくる「マインドフルネス」はこちらの記事で説明しています。
この三つのうち①「自分への優しさ」と③「マインドフルネス」はなんとなく分かりますが
②「繋がりを感じる」はどう役に立つのかピンとこない方もいるいると思います。
社会的繋がりは心身の健康や幸福度に直結することはご紹介しましたが、他にもこんな実験をご紹介しておきます。
説明がわかりやすく、とても使いやすいのでマインドフルネスを始める最初の本におすすめです!
繋がりを感じるメリット
コインブラ大学が3ヶ月以上の慢性痛に悩むポルトガル人女性231人(ほとんどが線維筋痛症と診断)を対象とした実験では
被験者の「痛みにどれくらい積極的に向き合っているか」と「セルフコンパッションレベル」を複数の質問でチェックしました。
結果、セルフコンパッションレベルの高い人ほど、慢性痛に積極的に対策を行う傾向が強く、抑うつ症状が少なく、実際の痛みのレベルも低い事が分かりました。
これはセルフコンパッション構成要素の一つ「繋がりを感じる」のメリットです。
この能力が高い人は「この痛みは個人的なものではあるが、人類が体験してきた事だから必ず対応策がある」という前向きなモチベーションが湧きやすく、メンタル面も安定しやすいようです。
逆に「この痛みは私だけのもので、誰にも理解されない」と思うと前向きな行動が難しくなるのが想像できます。
- つらい経験をした時
- 大切なものを失った時
- 失敗をした時
これらの場面で感じる辛さや苦しみを「自分だけのものだ」と強く感じることで塞ぎ込んだり、背負いきれなくなることもあります。
繋がりを持って捉えることで、受け入れやすくなったり、慈悲の心を向けやすくなったり、具体的な行動に移れる機会が増します。
スタンフォード大学の共感の授業――人生を変える「思いやる力」の研究
セルフコンパッショントレーニング
トレーニングで意識して欲しい3つの要素をご紹介しました。
現代ではセルフコンパッションについて、概要を説明し、トレーニングを紹介する本がどんどん増えてきています。
その中でも手軽に始められるものをいくつかご紹介します。
マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック
自分に優しい言葉をかける
何かに失敗し自己批判的になっている、残念な気持ちになっている、悲しい、そんな時は自分で自分に優しい言葉をかけてみましょう。
その時に自分自身を抱きしめるようにしたり、自分で頭を撫でても構いません。
気分が落ち込んでいる自分にもう一人の自分が、思いやり、共感、理解を持って話かけているところを想像しましょう。
親友であるかのように自分にかけた言葉を紙に書き出しましょう。
書き出す事で、言葉を客観視しやすくなり効果的になります。
自分を責めてしまっているのに気づいた時
もし、つらい経験や失敗から自分を責めてしまっていることに気づいたら
「自分が愛し尊敬する人が同じように落ち込んでいたら、そんな言葉をかけるだろうか?代わりになんて声をかけたいだろうか?」
を考えてみましょう。
安全な場所をイメージする
自己批判的な感情になったら「どんな悪いことも起きない安全な場所」をイメージしてみましょう。
誰もいない海、静かな森の中、自分の部屋の中、どこでも構いません。
その場所を鮮明に思い出し、そこから自分に優しい言葉をかけたり、自分が優しいと思える人物を想像して労りの言葉をかけてもらったり、対話したりしましょう。
予めフレーズを用意しておく
自分を労るフレーズを予め準備しておきましょう。
3つのパターンで作りましょう。
①マインドフルネスパターン
=まずは現状を認識するフレーズ「今心が苦しくなっている」「悲しみを感じている」
②繋がりに関するパターン
=自分の苦しみを皆な共通のものと捉えるフレーズ「誰しも失敗する時はある」「そんな時もあるさ」「失敗せずに成功した人はいないよ」
③自分に優しくするパターン
=自己批判を和らげる「それだけ責任を感じていたんだね」「私は私に優しく接するよ」
繫りで意識するのは、人との繋がりだけでなく、世界との繋がり、歴史との繫り、自然とのつながりなど様々です。
例えば、雨が降っていた時、その雨が草木を潤して、その草を虫が食べ、その虫を鳥が食べ、鳥の歌声は私たちを癒す事が繋がりとして意識出るはずです。
フレーズが浮かびにくい人は、自分の母親、優しいおばあちゃん、ペットがもし話せたら、好きなアニメのキャラクター、恩師ならどう言葉をかけてくれるか考えてみると浮かびやすくなります。
安心する動作を決めておく
自分を抱くようなポーズをとる、頬や耳を触る、心臓の上に手を当てる
などシンプルで構わないので自分が落ち着くような行動やジェスチャーを用意しておきましょう。
不安や自己批判が起きた時、これらの決まった行動を取る事で、実際に副交感神経が活性化し、セルフコンパッションに気持ちが向きやすくなります。
またストレス対策を多く持っている事自体が、ストレスを低減させる効果があります。
ストレスに気づいたらその場で対応策を取るのはとても良い方法です。
インターベーション・ブレスレット
セルフコンパッションを行うには、自己批判的な感情に気づく(マインドフルになる)事がとても大切です。
このテクニックは、手首に髪を纏めるゴムや、ゴムバンド、ブレスレットなどを身につけ、不安や自己批判が頭に浮かぶ度に、反対の手に付け替えるテクニックです。
こうする事で、自己批判や不安に気づく事ができ、これだけで不快感が減るケースもあるそうです。
「If=手首のバンドを付け替えたら then=自分に優しい言葉をかける」など、セルフケアをIf thenルールで習慣化することもできます。
慈悲の瞑想
Googleが社員に推奨していることでも知られる瞑想やマインドフルネス。
Google車内には31箇所も瞑想スペースがあるそうです。
瞑想がメンタル改善に効果的なのは言うまでもありませんが、セルフコンパションを鍛えるのに特にお勧めなのが慈悲の瞑想です。
ただ瞑想するのではなく、慈悲のフレーズを頭の中で繰り返す方法です。(詳しくは↓)
一日15分〜20分行うと効果的です。
グーグルのマインドフルネス革命: グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス
記録する
日記がいいと思います。
一日の中で、セルフコンパションを行えた行動や場面を記録していきます。
もし上手に行えず、自己批判的になってしまった時は、改めてセルフコンパッションを行うならどうするかを書きましょう。
この記録が多くなっていくほどセルフコンパッションが上達していく事がわかっています。
まとめ
失敗そのものより、失敗した後自分を責める事で、習慣が途切れたり、メンタルが悪化します。
日本社会は一度のミスで、後戻りできないほど皆んなから責められる文化が広まってきています。
子供の中に「虐められる側にも問題がある」と言う子がいる様に、悪い人は責めてもいい、批判してもいいと言う空気が蔓延しています。
ありもしない厳しくするメリットが先行し、許す、優しく接するメリットがなかなか理解されていません。
皆さんもまずは自分自身に優しく接することから初めてみましょう。
まとめ
- 自分への優しさ、繫り、マインドフルネスを意識する
- 予め労りの言葉や動作を準備しておく
- 自己批判に気付くきっかけを作る
- きっかけと労りをセットにする
- 慈悲の瞑想や、セルフコンパッションの記録をとる
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