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社会脳仮説!なぜ人間の脳はこれほど大きくなったのかと自己意識的感情
みなさんご存知の通り、人間はとても脳が大きな動物です。
人間の仲間である他の霊長類と比較すると
- チンパンジー体重約40キロ
- オランウータン体重約70キロ
- ゴリラ体重100キロ越
で脳みそのサイズは皆380g〜400gぐらいです。
それが人間の場合、体重60キロぐらいで脳は1200g〜1400gになります!
どうしてこれほど大きな脳に進化したのかについて、科学者は
- 社会的要因
- 環境的要因
- 栄養的要因
のどれであるのか、といったことを長らく論じてきました。
今回はその中でも注目度の中い「社会の複雑さが脳を大きくした」という
社会脳仮説について解説しようと思います。
今回の内容を動画で解説!
われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略
社会脳仮説(マキャヴェッリ的知性仮説)
社会脳仮説とは
人間の持つ高度な知的能力は、複雑な社会的環境への適応として進化した
という仮説です。
社会脳仮説は1960年台から人類学や生物学では活発に議論されていましたが
心理学で注目され始めたのは割と最近になってからのようです。
厳しい環境を生き抜くために個として肉体を強化するのではなく
集団として機能することを目指し
その過程で生まれた社会の複雑さが脳を大きくしたとする考えです。
集団としての機能
- 同盟や協力関係
- 約束をする
- ルールを作る
- 計画的に作業する/分業をする
など、社会として「協力」する面と
- 規則を破って自分だけ得をする
- 嘘をつく、その嘘を見破る
- 裏切り者やただ乗りしている人を見つけ出す
- 複雑な人間関係を理解し政治的に利用する
などの競争や嘘、一人抜けを見破り罰するなどの複雑な社会を作り生きていくために
高い認知が求められ、それが脳を大きくしたとする考えです。
社会的な感情の発達!集団が大きくなり生まれた自己意識的感情
社会や集団のサイズが大きくなるにつれ高まってきた感情があると推測されています。
それが
- 自尊心や誇り
- 罪悪感
- 恥
などの自己意識的感情です。
群れの規模が大きくなり社会が複雑になると
- 相手が何を考えているのか
- 自分は周りからどう思われているのか
などを正しく把握することの重要性が増します。
そのような理由で生まれた心理を「社会的感情」と呼び、その中でも
社会や他者から見た時の「自己」に関する意識から湧いてくる感情が自己意識的感情です。
- 自尊心や誇り=みんなに対して「自分」が誇らしい
- 罪悪感=集団の規範を破った「自分」に罪の意識を感じる
- 恥=他者や集団から見たときの「自分」が恥ずかしい
などです。
自己意識的感情は集団内の規範を守ったり
自分の利益だけを追求し、集団から排除されるリスクを下げるなど
ルールや道徳に反する行動のストッパーとして働いく機能もあると考えられているようです。
それほど昔の人類は集団の相互利益を利用して生活しており
集団からの追放はそのまま死に結びつくほどの脅威だったと考えられています。
狩猟採取時代は集団の規範やルールを破る人にかなり暴力的な対応をとっていたとする人類学者の方もいらっしゃいます↓関連記事
まとめ
今回は人間の脳が大きくなった理由を社会脳仮説という予測からご紹介しました。
昔から脳が大きくなった要因は複数考察されています。
- 小さく素早い獲物を捕まえるため
- 厳しい環境に適応するため
- 親指と他の指が向かい合い、道具を作る機会に恵まれたため
- 火を管理し調理することで栄養に恵まれたため、など
社会脳仮説が間違っていて、これらのどれかが本当の理由かもしれませんし
社会脳仮説を含め複数の要因が作用している場合い
地域によって要因が異なっていく場合
など様々なケースが想定できます。
まだまだ仮説の域は出ませんが、社会脳説を前提に考察した際に説明できる
現代の行動や心理なども多く存在しているのでそれらもご紹介していこうと思います。