多くの人が、相手に良い印象を与えるにはどうするか、影響力を与えるにはどうすれば良いか考えます。
ですが、いい印象だけでなく、悪い印象を与えないようにすることもコミニケーションにおいて非常に重要な要素です。
なぜなら人の脳はポジティブなことより、ネガティブな事に反応し、記憶するように出来ているからです。
今回紹介する「相手が嫌がる褒め方」をしている人は行動を見直して、自分の気持ちが正確に相手に伝わる方法に修正しましょう。
目次
相手が嫌がる褒め方を解説〜よかれと思った言葉が裏目に出る人たちの褒め方〜
この記事は前回の記事「損をする褒め方/逆効果になる褒め方解説」の続きのような内容なので、是非そちらもチェックしてみてください。
それでは2013年マサチューセッツ大学ホワイトボーン博士の先行研究レビュー等から相手が嫌がる褒め方を紹介していきましょう。
曖昧な褒めはやめよう
これは心理学で言うダブルミーニング=二つの意味に捉えられる褒め方を指します。
例えば旦那さんが掃除を手伝ってくれると言ってくれた時に「家事を手伝ってくれるなんて珍しいから嬉しい」と言ったとします。
奥さんは普段忙しく働いている旦那さんが、休日まで家庭の事を手伝ってくれるなんて嬉しいとだけ伝えたかったのに、この言葉がダブルミーニングになると
「普段は手伝いもしない事に不満がある」とも解釈できるわけです。
子供が珍しく勉強を進んでした時、先輩が珍しくご飯を奢ってくれた時、部下が珍しく活躍した時、パートナーが久しぶりにバッチリお洒落した時。
曖昧な表現で褒めると、ダブルミーニングが起き「普段はそうでもないのに」の枕詞がついた褒め方になってしまう場合があります。
前回の記事でも、褒めるのは説得に近いと説明しましたが、ダブルミーニングを避けるには褒める理由とストーリーを明確にするように注意してください。
仮に、本当に普段手伝や家事をしない事を言及するなら別の機会に、誉める内容とは切り離して伝えましょう。
この時どんな言葉で伝えたらいいか悩む方は「マーシャル・B・ローゼンバーグのNVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法」がお勧めです。
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人は褒められた時、嫌な気分になると、他者を褒めなくなってしまいます。
なので褒めと嫌味のバブルミーニングはパートナー間や子供にもするべきではありません。
頻繁に褒める
頻繁に褒めまくるのは注意が必要です。
特に褒める言葉にバリエーションがない時は「もう分かったから」と相手もゲンナリした気持ちになります。
またバリエーションの無い、軽い褒めを連発すると、褒めの価値が下がります。
「この人みんなに同じ事言ってるんじゃ無いか」と疑念をもたれる危険性もあります。
さらに集団で一人だけを褒めまくる時が危険です。
あなたが新入社員で先輩社員たちと話してるとしましょう。
その席で特定の一人を褒めまくっている時、それを聞いている他の先輩の心の中で「自分も褒めてもらえる」という期待が高まっているのです。
そこを一人だけ褒めてその場を終わらせてしまったら、他の先輩達の期待は裏切られ、自然とマイナスの感情が芽生える事があります。
頻繁に褒めるのは特に、集団の時に注意が必要です。
他人とうまくやっていく
不適切なお世辞
私達そんな間柄じゃ無いよね?
関係が浅いのに急に一線を超えるような褒め方やお世辞をいうのはやめましょう。
初対面の人と数十分話しただけで「あなたの生き方を尊敬しています」や「師匠と呼ばせてください」などは誰が聞いても大袈裟です。
また家庭内のこと、性的な事、政治的な事、宗教的な内容も倫理観を大切にし、お世辞や、褒めているつもりであっても不適切な場面で発言するのはやめましょう。
宗教や政治観念、性的な事柄は初対面で上手く自己開示できればお互いの距離がとても縮まるという研究もあります。難しいですが見極めが大切です。
例えば相手が家庭や子育てを大事にしている人に「この前不倫した芸能人の〇〇さんとは大違いで尊敬します」なんてのは不適切な感じがすると思います。
他にも「強固なリーダーシップがトラ○プ大統領のようですね」とか「魅力的な胸の谷間ですね」はウケ狙いであってもすべってますし、不適切でしょう。
羨ましさや欲望を褒めに混ぜないようにしよう
前回の記事にも似た項目がありましたが、才能や、持ち物などを羨ましがる、欲望を混ぜた褒めはやめましょう。
才能があるように見える人も必ず努力をしているので、その努力や戦略を褒める。
相手の高級な持ち物を褒めるときは、それを選んだセンスを褒めたり、選び方をアドバイスしてもらうのが良いでしょう。
例えば相手が高い財布を持っていたら「シンプルながらしっかりした素材でとっても素敵です。私も新しい財布を探しているのですが(プレゼント目的でも)お勧めのブランドありませんか?」とか
「私ぐらいの年齢の時はどんな財布を使われていたんですか?」などいいかもしれません。
このようなアドバイスを求めるような質問をアドバイスフレーミングと言います。
前回の褒めの注意点でも解説しているので参考にしてみてください。
気まずくなるような褒め方はやめよう
この褒め方をしてしまうと相当空気読めない人だと思われてしまいます。
同席になった人と被るような特徴を褒めるのはやめましょう。
数人で座って話している時、イケメンで高身長のAさんがいたとします。
そのAさんを「Aさんて、身長が高くてカッコイイです!」と顔のカッコよさと身長を絡めてダブルミーニングで褒めたとします。
ですが実はパッとしない顔だけど、Aさんより身長の高いBさんがその場にいた場合「いやBの方が身長高いんやけど…」のように気まずい雰囲気になります。
このような展開を避けるにはなるべくその人しか無いようなものを褒めましょう。
型にはまった=ステレオタイプな褒め方はやめよう
これもよくしてしまいがちで、相手の肩書きや、立場を使って、固定概念を助長する褒め方はやめましょう。
アメリカ人の友達に「さすがアメリカ人はバスケが上手いね」と言ったり。
新人の部下がアイデアを出した時に「さすが若い人は頭が柔らかいね」などと褒めるのはその人の個性や能力、努力、工夫を蔑ろ(ないがしろ)にした褒め方なのでやめましょう。
努力して、長い間技術を磨き、それが認められプロになった人に「さすがプロだから上手いですね」というのは失礼です。
他にも、女だから、男だから、若いから、と頭につけて褒める場合,彼らの力を正しく褒める事ができていない場合が多いです。
私が最近思うのは、料理やお菓子作りが趣味の女性に「女子力高いね!」と褒めるのもあまり適切で無い気がします。
料理もお菓子作りも女がするものと決まっていませんし、女だから料理を趣味にしたので無い限り、始めようとしたきっかけや、どんな物を作るのか話したり、アドバイスをもらう方がより良いと思います。
例外として考えられるのは、相手が肩書きに強い誇りを持っている場合は成立する場面もありそうです。
なぜなら人間は自分のアイデンティテーを強固にしてくれる相手を好む心理があるからです。
自分が関西人だという事を誇りに思い、強いアイデンティテーにしている人に「お好み焼きひっくり返すの上手いですね!さすが本場の関西人」と褒めたりするパターンはありだと思います。
セールストークの褒め
褒める側の利益を連想させるような褒めは辞めましょう。
皆さんも服を買いに言った時「すごくお似合いですよ!とっても似合ってます」と言われ続けたら「この店員は自分の利益のために褒めているな」と嫌な気持ちが湧いてくるかもしれません。
セールストークを使った褒めは長期的な関係を崩します。
「こいつ出世のためにわざと褒めてきてるな」とか「私と付き合いたいから褒めてるだけでしょ」とか褒めに含まれる、相手を誘導して得をしようとする気配は伝わります。
褒めやお世辞と、利益の連想は分けて発言してください。
一瞬でYESを引き出す 心理戦略。
まとめ
今回は褒める時にしない方がいい褒め方シリーズの第2だんをお送りしました。
褒める時はあまり気負わず、大袈裟にならないように、相手の努力や工夫を褒め、アドバイスを受けて、その分野でのこちらと相手の立場を明確にするなどがいい方法だと思います。
是非皆さんも参考にしてみてください。
まとめ
- 曖昧な褒めはダブルミーニング勘違いを生む
- 頻繁な褒めは価値を下げる
- 場にそぐわない不適切を見極めよう
- 羨んだり欲しがったりする褒めはやめよう
- 特徴がかぶらない褒めを探そう
- 固定概念を強化する褒めはやめよう
- 利益を匂わせる褒めは長期的な関係を崩す
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