目次
仕事にやりがいを感じている人ほど要注意!「燃え尽き」と「やりがい搾取」に気をつけよう
これらはよく耳にするアドバイスです。
- 仕事が私達に幸福をもたらすこと
- 仕事は人生に大きな意味を持っていること
- 仕事は幸福度やメンタルに大きく影響すること
単純作業より「やりがい」や「情熱」「意味」
を感じられる仕事を行うのが良いことは研究でも分かっています。
ですが仕事にやりがいを感じている人ほど注意しないといけない点もあります。
今回はその中でも「燃え尽きてしまうこと」と
「やりがい搾取」について解説しようと思います。
やりがいを感じている人ほど燃え尽き症候群になりやすい
心理学者のデイビッド・ホワイトサイドは
「自分の仕事につながりを感じることは明らかにメリットがあるが
一方では長期的な燃え尽き症候群とも関連しやすい」
と指摘しています。
昔から産業心理学などの世界では
「仕事に情熱的な人ほど燃え尽きやすい」ということが指摘されていたようです。
やりがいや情熱を持って仕事に取り組む人は
仕事を始めたばかりの時点では幸福度が高い傾向があります。
ですが職歴が長引くほどストレスが増加し
怒り、不安などの感情が増す傾向が有るようです。
「やりがい」を持って仕事する人がストレスや怒りなどを貯めてしまう要因は
次のようなことが考えられます。
- 作業を増やしすぎてワークライフバランスが崩れる
- 自分のやりがいと会社・上司の方針がずれている
- 適当に働いている同僚と評価や賃金が同じ
- 自分の働きのフィードバックが得られない仕事
- 歯車の一つのように、一部の仕事しかさせてもらえない
- 熱量の違いから周囲のサポートが得られない
顧客一人一人に臨機応変に対応したいのに上司からマニュアル通りの接客を指示されたり。
人の役に立ちたいのに「相手を誘導して、騙してでも買わせろ!」のような社風だったり。
賃金や評価に不公平を感じるなどが職歴が長くなるほどネガティブに働くようです。
WHOの定義では
燃え尽き症候群の特徴は大きく3つに分けられます。
- モチベーションが逆に下がってしまう
- 自分の仕事に対して否定的な感情や不信感が起きる
- 仕事の効率があきらかに低下する
燃え尽き症候群対策としておすすめの方法
燃え尽き症候群を防ぐのに役立つ方法をご紹介します。
転職も考える
今いる会社が完全にブラック企業で有るにも関わらず
仕事にやりがいを見出そうとするのは危険が伴います。
場合によっては転職も視野に入れ
環境を変えることも有効な手段です。
完璧主義を見直す
仕事への「情熱」と「完璧主義傾向」が合わさってしまうと仕事へのストレスが激増します。
自分へ高い目標を課すのはいい結果を生み出す場合があるようです。
しかし、完璧を求めすぎてしまうリスクが有ることも知っておきましょう。
このブログの完璧主義関係の記事を読んで頂いても良いです。
おすすめの本↓
価値の包括的な要素を意識する
「人生の価値が持つ特徴」でも触れましたが
仕事に対するやりがいや情熱は
副業、プライベートや趣味、生活の中にも見いだせる場合が多いです。
仕事一辺倒に成りすぎず、副業・趣味や日常の中にも自分の「価値や情熱」
に近い事を見つけ、ライフバランスをとるように心がけましょう。
セルフコンパッションとセルフケアを意識する
仕事の中でも
- 介護
- カウンセリング
など、ソーシャルワーカーや他人をケアする職業をされている人の中に
「共感疲れ」という「燃え尽き症候群」に近い状態になる方がいらっしゃるようです。
そんな時は自分を労る考え方「セルフコンパッション」を意識して
セルフケアを意識してみましょう。
あなたの「やりがい」は周囲に搾取されやすい!
職場においての「やりがい搾取」とは
=仕事への情熱が大きい人につけ込み、不当に安い賃金で働かせる行為
を意味する言葉です。
「やりがい搾取」と聞くとあからさまなブラック企業を想像してしまいますが
実際は普通の会社や仕事の中にも多いようです。
オクラホマ州立大学などによるメタ分析では
仕事に情熱を燃やす人ほど
- 無給で長時間労働を強いられる
- 本来の業務とは関係がない事務仕事をやらされる
- 業務と関係ないオフィスの掃除などまでやらされやすい
などの傾向が確認されているようです。
さらに157の動物園を対象にした研究でも
普段から仕事に対しての「やりがい」を高めようと努力している人の一部に
- 同僚より賃金が低い
- 余分な仕事を押し付けられやすい
などの傾向が確認されました。
あなた自身、もしくはあなたの身の回りにも「やりがい搾取」されている人はいませんか?
人間には「やりがい」は搾取しても構わないというバイアス(思い込み)がある
どうして「やりがい搾取」が起きてしまうのか。
要因の一つは、なんと人間に
「情熱がある人は好きでやっているのだから条件が不利でも構わないだろう」
と考えてしまう傾向があることがアンケート調査で指摘されています。
そのアンケートでは
情熱的な人が多い業界に対して
「労働環境がひどくても当然だ、なぜなら本人にやる気があるから」
「あんな酷い環境で働いているのだから
あの人はモチベーションが高いのだろう」
と考える人が多かったようです。
日本でも労働環境の悪い
- アニメーター
- 畜産農家
- 教師
- ソーシャルワーカー
などの労働環境改善が昔から指摘されていますがなかなか実現しません。
それは
労働環境がヒドい場所で働いても当然だろう。
なぜならアニメーター本人にやる気があるのだから
あれだけヒドいところで働いているのだからよほどモチベーションが高いのだろう
と思いこんでしまう傾向が私達にあるからかも知れません。
これらの思い込みから、仕事にやりがいを持っている人に対して
周囲の人達は
- あの人は好きでやってるんだろう
- この事務も任せとけばいいや
- 賃金が労働に見合って無くてもでつにいいだろう
と「やりがい搾取」をしてしまうようです。
やりがい搾取されやすい人におすすめの本
「やりがい搾取」されやすい人におすすめの本が
アダム・グラントの「Give and Take」です。
GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房
この本では人間を3タイプに分けています。
- ギバー=与える人
- テイカー=奪う人
- マッチャー=与える・もらうのバランスを取る人
アダム・グラントによるとギバー(他人に与える人)の中には
- 凄く成功している=トップギバー
- 全然上手く行っていない=ボトムギバー
の2タイプがいるとのこと。
この「Give and Take」ではこの2タイプのギバーの違いや
与える・親切などを行う際の注意点などが解説されています。
例:ギバーはテイカーと関わる時はマッチャーの様に振る舞うことを意識しよう
親切は助ける相手が目の前にいて作業が5分ですむ場合がおすすめ等
自分のやりがいを搾取してくる人に出会った時の対応策や
与えることが「健全に働く場合と不健全に働く場合」の違いが解説されています。
動画内でも簡単に解説していますので参考にされてみてください!
まとめ
やりがい搾取は思い込みから発生しているという指摘があります。
これは仕事だけでなく、パートナーや友人が自分になにかしてくれた時にも意識しないといけないんだなと感じました。
例えば料理好きのパートナーが自分にご飯を用意してくれた時。
私達は「この人は料理好きだから、もともと料理を作るのにやりがいを感じてるから」
と思い込んでしまいやすいと言えます。
実際は料理が好きなことと
料理に対する労力は分けて考え、感謝しなくてはいけません。
自分が搾取されないことと同じくらい
他人のやりがいを搾取していないかにも気をつけたいと思いました。
情熱を持って仕事をに取り組もう!
やりがいを感じられる職業につこう!