目次
価値と目標(ゴール)の違いを理解する方法
価値と目標の違いを簡単にいうと。
価値と目標のイメージ
- 価値=人生の進路や方向性のようなもの
- 目標(ゴール)=手に入れたいもの成し遂げたいこと
のようなイメージです。
人生を旅に例えるなら
東の方向に歩いて行こう=「価値」
あの山を目指そう=「目標(ゴール)」
と言えます。
目標より価値が大切という話ではありません。
価値を正当化する必要はないですし、自由に選択できます、また価値に固執しすぎない方が良いです。
ただ目標と価値は区別して理解しておかないと、山に登った事に満足して旅を続けるのを忘れてしまうように、人生の意味を見失いかねません。
「痩せる」という目標に向かってダイエットした場合
半年後、ダイエットを始める前より体重が増えてしまっている人が半数以上いるといわれています。
「健康的に生きる」「身体的な魅力を保つ」などの価値と「痩せる」という目標を混同してしまうとリバウンドも起きやすくなります。
幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 (単行本)
価値と混同されやすい目標
私達が「人生の価値」を尋ねられた時に答えてしまいそうな目標の例をみてみましょう。
- お金持ちになりたい
- 幸福になりたい
- 結婚して子供が欲しい
- 成功したい
- 尊敬されたい
- 立派な仕事につきたい
これらの答えはどれも、手に入れたいもの成し遂げたいこと=目標(ゴール)です。
例えば「パートナーを愛し人生をサポートしたい」と望んだとしたらそれは価値です。
それに対して結婚は目標になります。
目標は短期的、中期的な行動の原動力になります。
倒れない計画術:まずは挫折・失敗・サボりを計画せよ!
人生の価値に必要な3つの要素
価値は「価値観リスト」を参照したり、自分に質問することで見つけ出すこともできます
そして、価値を見つけ出したい時、次の3つの事を意識してください。
- 継続的な行動か
- 包括的な性質を持っているか
- 望んでいる:選択しているか
少し分かりにくいと思うので一つずつ解説します。
よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門
価値の要素①継続的な行動
先ほども言いましたが、価値は進む進路や方針のような物です。
ここで終わりという目標(ゴール)があるわけではありません。
人生の価値で、人を愛する、与える、尊敬する、健康でいる、良い友達でいる、正直でいるなどは常に自分の行動の指標です。
どのように行動したいか、何を続けたいかを示してくれます。
逆に毎日の生活で実行できないものは価値ではありません。
少し分かりにくいですが、なぜ「幸福になる」が価値ではないかというと
「幸福」になろうと目標にはできても、私達が「幸福」を「する」事ができないからです。
ですので「幸福になる」は価値ではなく「なりたい感情の目標」です。
また「痩せる」も価値ではありません。
50kgになったら次は40kg、その次は30kg、20kgと「痩せる」をし続けることは出来ません。
同じように
- 尊敬される
- 感謝される
- 高級車に乗る・豪邸を買う
これらはどれも継続的に「する」事ができないため目標(ゴール)ではありますが価値ではありません。
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド
価値の要素②包括的な性質
価値の包括的な性質、まず「包括的(ほうかつてき)な」の意味が分かりにくいと思います。
包括的とは、一つの中に沢山の要素が含まれていることです。
例えば、りんごは「丸い」「赤い」「果物」という三つの要素の包括的な存在です。
価値の要素の包括的な性質について説明します。
もしあなたの価値が「家族を支援(サポート)」する事だとします。
そうすると「支援(サポート)する」という性質に基づいて様々な行動をとる事ができます。
価値は包括的
- 家事を行う
- 収入を安定させる
- 相談に乗る
- 叱る・手本となる・褒める
などです
このように価値は多くの目標や行動の包括的な存在なのです。
さらに価値は分野を超えた包括的な性質もあります。
例えばサッカー少年に
価値の質問
- どのようにサッカーをしたいのか
- サッカーでどんな人間的強みを示したいのか
- チームメートや対戦相手にどのように振る舞いたいのか?
と質問して価値について答えてもらったとします。
そして、サッカーを通じ
サッカーを通した価値
- 一生懸命取り組む
- 集中する
- 最善を尽くす
- 仲間や相手を尊敬する
などの価値を見つけ、自分が価値に基づいて継続的に行動している事に少年が気づいたとします。
結局彼はプロになれず、サッカーで名を残すことはできませんでした。
ですが、人生の価値に基づいて学業や仕事、子育てでも
- 一生懸命取り組む
- 最善を尽くす
- 仲間を尊重する
に取り組むことができ、その価値を教えてくれたサッカーに感謝し、いつまでも愛しているのです。
これが価値のもつ分野を超えた包括的な性質です。
分かりにくい時はアニメや漫画の主人公をイメージしてみるのも良いかも知れません。
彼らが困難や挫折を迎えても行動を辞めない、敵や味方に対する接し方など
彼らが持つ価値の包括的な性質が行動の指標になっている場合が多いです。
価値の要素③望んでいる:選択している
価値はあなたがすべきことでも、しなければならないことでもルールでもありません。
自分の行動にそのような性質を望んでいるだけでなく、意識的に選び取った物です。
強制されたり、押しつけられた物でなく、自発的で自律した選択です。
欲しいものがわからない時は「欲しい価値を何でも得られるとしたら何を選ぶだろう?」と自問してみるのも手です。
後悔しない超選択術
価値とゴールの違いが分からない危険性
冒頭でも書きましたが、現代社会は目標(ゴール)をあたかも価値のように扱うことがとても多いです。
価値と目標(ゴール)の違いを理解していないと人生を棒に振る結果になりかねません。
例えば、お金があると「人を支援する」にも使えますし
「個人の成長」や「健康の増進」などの人生の価値に役立つ場面もあります。
なのでお金集めを目標にするのは良い事です。
しかし、お金集めを人生の価値だと思ってしまうと困り物です。
集めたは良いものの、一瞬の興奮の為に浪費してしまったり
目的を達成する為に人を騙すなど手段を問わないような人も実在しています。
ふとした瞬間に、なんでお金を集めようとしていたのか分からなるかもしれません。
またお金や、社会的地位のために定年まで家庭も、健康もかえりみずに働き
全く愛情のない家族と共に第二の人生を病院通いで終えるなんて事にもなりかねません。
価値を探るのと一緒に目標やお金、幸福の勘違いを解くのも良い方法です。
お金やプール付きの豪邸、高級車などの要素が私達の幸福度にどれくらい関わっているのかについての論文は世界に1万本以上存在しています。
その論文の結果やお金のより良い使い方についての本を紹介しました。
MIND OVER MONEY 193の心理研究でわかったお金に支配されない13の真実
是非、人生の価値と目標(ゴール)を区別して、より良い目標や行動の指標にしていただけたらと思います!
この記事はACTをもとに書かれています。
教えて!ラス・ハリス先生 ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)がわかるQ&A
使いこなすACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)
いま一度自分を振り返り、人生を見直して新たな自分を見つけることが出来るものと教えられました。新たな自分の再出発です。
世間では、走り続ける、諦めずに努力を続けることが美しいとされる場面が目立ちます。
でも、それと同じくらい、たとえ止まっても「新たに動き出すこと」が大切なのだと感じる場面が私自身増えてまいりました。
2024年が多田様にとって良い年になりますことを祈念しています。コメントありがとうございました。