習慣化すれば行動を自動化でき、意志の力を使わなくても行動できるようになっていきます。
ですが習慣を行っていく上で必ず現れる、皆さんを挫折に追い込む心理
それは「自己否定」と「退屈」です。
この二つは真面目に習慣を行っているほど
高い目標を掲げているほど起こりやすい心理です。
今回はそんな習慣を挫折に追い込む心理に対する対応策や
努力や習慣を実行する時のメンタルを解説します。
目次
努力や習慣を実行する時の挫折対策やメンタルについて解説
習慣を続ける、努力する、その過程で失敗すること
諦めそうになる場面は皆さんなんとなく想像できると思います。
それに加えて「退屈する」ことも習慣の挫折に関わってきます。
そのほか努力する際、習慣を始める、継続する際のメンタルについて解説していきます。
やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学
習慣は続けるほど挫折しやすくなる?
If thenプランニングの紹介でも解説しましたが
習慣は「意志の力を使わない行動の自動化」を目指しています。
習慣を身に付けるには、無意識に行えるほど繰り返す必要もありますが
繰り返すほど退屈にもなってしまうのです。
ミシガン州立大学は「習慣化された行動に対してどういうことを感じているか」を研究しています。
その結果、完全に習慣化された行動をとっている時
人はほとんど何も感じず、何も考えていない事がわかりました。
つまり習慣が身につく程に感動が無くなり、モチベーションが下がって挫折し安くなってしまう
「習慣の二重法則」と呼ばれる性質が存在しているのです。
- ふっと、自分はいつまでこの習慣を続けるのだろうと感じる時がある
- 全く別のことを考えながらでもこなせる習慣がある
- 新入社員の言動を見て、自分が仕事を作業のように単調にこなしていた事に気が付く
- 本は読めば読むほど、一冊あたりの価値は低下するbyタイラー・コーエン
習慣の二重法則=退屈への対処法
習慣の二重法則=退屈への対処法は「アレンジすること」です。
これだけ聞けばとても簡単に聞こえますが、実際はそうでもありません。
何も考えずに行えている習慣をアレンジすることは
効率が下がったり、失敗するリスクもあるため、心理的に取り入れにくい発想だからです。
そんな心理を働かせずにアレンジをするコツは
- 今より簡略化を目指す
- 失敗、自分を許すセルフコンパッションを鍛える
この二つがとても大切になってきます。
アレンジは簡略化がお勧め
簡略化と言うと手を抜くように聞こえますがそうではりません。
簡略化を目指すと、要点を抑えるために、自然と知識の探究と洗練された行動が必要になるのです。
ジムに通う習慣が身についたとします。
そのジムで一日1時間トレーニングすることに退屈してきた人は
45分のトレーニングで同じ効果が得られないかアレンジしてみましょう。
食事を変えたり、効果的なトレーニングを調べたり、カフェインを使ってみたり
今まで1時間で得られた効果が45分に簡略化出来ないかを追い求め
結果を記録したり、比較してみましょう。
そのほかにも、読書、運動、勉強、睡眠、掃除、瞑想、教育
どれをとっても効果を上げる、簡略化する、時短する方法の研究や本は意外と沢山あります。
逆に現代は情報が溢れかえり、良いものと悪いもの、新しいものと古いものが混ざり合っています。
全ての情報に当てはめる事はできませんが
情報の判断の一つの目安として科学的な情報は新しいものを選び
思想については古典を選びましょう。
現代はテクノロジー分野なら3年、一般的な情報は7年程で移り変わるので
既に最新の情報に移り変わっていないか確かめましょう。
今行っている習慣を簡略化して
空いた時間でさらに新しい習慣を身につくていく事が可能になります。
アレンジであれば簡略化以外も効果的です。
自分の好奇心をくすぐるようなアレンジを工夫してみましょう。
習慣や努力を失敗した時のセルフコンパッション
セルフコンパッションは日本では聴き慣れない言葉だと思います。
コンパッション(Compassion)は「同情、共感」という意味で
セルフコンパッションは「自分を受け入れ優しくする」という意味があります。
日本では古くから、自分にストイックで厳しい人が良く
自分に甘い人は良くないという考えが主流でした。
しかし、近年の研究では自分を許す能力が低い人は、セルフコンパッションができる人に比べ
能力も低く、物事を先送りし、寿命まで短い事がわかっています。
自分に厳しくすると、失敗した時の体験は脳裏に焼き付くでしょう。
しかし、次の挑戦での失敗も恐れるようになり、挑戦をしなくなり、物事を先送りし
失敗の解決策にまで考えが及ばなくなったり、自己否定感を強くしてしまいます。
習慣化も、失敗した時に「一度決めた習慣を行えないなんて、私は意志の弱いダメな人間だ」
と自分を責める事で、習慣自体を挫折してしまうのです。
実践 セルフ・コンパッション: 自分を追いつめず自信を築き上げる方法
気持ちに気づき自分を労る
セルフコンパッションの「自分を受け入れ/優しくする」を実践するには
まず自分の感情に気付くこと、マインドフルネスが推奨されています。
マインドフルネスで、ありのままの、失敗している自分の気持ちに気づいたら
その感情を否定せず、ありのままに受け入れましょう。
習慣に失敗し、落ち込んでしまった時も、自分を責めずに労(いた)わりましょう。
今日はいつもより疲れていて、自分らしくない日だったのかもしれません。
失敗をした原因がわかれば大きな成功をつかめるかもしれません。
失敗せずに、無傷で成功した人はいません。
失敗とあなた自身は、別のものです。
パートーナーが自分と同じ努力をしていたら、失敗して落ち込んでいたら
あなたは「凄く頑張っているね」「もう少し休んだら?」「そんな日もあるよ」
など声をかけるはずです。
その声を落ち込んでいる自分自身に向けてみましょう。
セルフ・コンパッションのやさしい実践ワークブック
努力は報われないものだということも認める
前回紹介した「パワフル・バーブ」や「成功への期待」と矛盾するようですが
努力が報われない可能性も認めなくてはいけません。
人は誰しも「努力は報われる、悪い事は必ず罰せられる」などの強い思い込み
「公正世界信念」を持っています。
「公正世界信念」を持つ事で、世界が秩序だったものに感じられ
安心感を得る事ができるメリットもあります。
しかし、あるかわからない世界の法則に身を任せるだけではなく、自分で選択し
行動する、人生のランダム性も受け入れることが大切です。
努力にしがみつき、頭の中で努力と成功を完全に結び付けてしまうと
凝り固まったマインドセット=心のありよう、になってしまいます。
強すぎる「努力=報われる」思考は、努力を続ける事自体に満足し
本来ある努力の目的をすり替えてしまいます。
そして柔軟に戦略を見直す、しなやかなマインドの強みを失わせます。
ひどい時には上手く行っている人を妬んだり、成功者がミスをしたことを喜ぶ
自分より上手く行ってない人を馬鹿にするメンタルまで育てる場合もあります。
同じような努力を何年も続けて成果が出ない人は、戦略を見直したり、仲間を見つけたり
違う視点を導入する方法も考えなくてはいけません。
努力は報われない可能性を認めた上で、常に戦略に照準を合わせることが大切です。
マインドセット:「やればできる!」の研究
高い目標を掲げた時は、それをスモールステップに分けます
一つずつのステップを成功できる自信が70〜80%程に設定しましょう。
またゴールまでのステップを分かる限り明確にしましょう。
目標に到達した時も、しなかった時も「戦略に間違いは無かったか」
「戦略のどこがよく無かったか」「ゴールの立て方は合っていたか」など確認しましょう。
そして目標は短期、中期、長期に分けて設定する事もお勧めします。
目の前の目標に対するモチベーションと、戦略。熱い心で、頭はクールに
客観性を失わないことが重要です。
努力は報われないを認めるのにおすすめの作品
「努力は報われないを認める」のにお勧めなのは京都アニメーションが作成した
響けユーフォニアムは、姉に憧れて吹奏楽部に入った女の子が主人公です。
主人公は色んな部員や人と接する事で、漠然とした姉への憧れから
自分がなぜ楽器を演奏するのかの理由を問い直し、成長していく姿などを描いています。
劇場版より前に地上波で放送されていていたシリーズは、恋愛や、憧れから
自分の演奏への変化などがテーマでしたが。
2019年に放映された劇場版「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」は
報われないかもしれないけど努力するという難しいテーマを見事に描いている作品です。
テレビシリーズから主人公の成長を知った上で見るのが一番でしょうが
劇場版だけ見ても楽しめると思います。
努力と結果が伴うとは限らない事を認める主人公と、そこからの行動、現実的な結果
それに伴う選択、周りの反応、それらの過程を素晴らしい演出、作画、音楽、演技で描いています。
是非チェックしてみてください。
劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~ [DVD]
ある程度決まったら行動する
2017年のカリフォルニア大学の研究では「習慣化の方法に関してある程度の知識を得たら
そこから先はあまり考えすぎず、最初の一歩を踏み出すようにした方がいい」とまとめています。
例えば筋トレで、どんなトレーニングが効果的か、どんな工夫ができるかなど高次元のことは
ある程度習慣が身についてから考えればいいです。
現代はSNSの普及で、自分と同じぐらいの年代の人が
簡単に成功しているように見えてしまう機会が多いです。
それを見て、自分も完璧にこなそうと、準備にだけ時間や労力を費やしてはいけません。
完璧主義が強い人はセルフコンパッションの能力を高めることで
失敗への不安が減ったり、失敗しても回復して立ち直る能力(レジリエンス)
も向上するのでお勧めです。
マインドフル・セルフ・コンパッション ワークブック
まとめ
いかがだったでしょうか。
これまでは習慣を身につけるためのテクニックを紹介してきましたが
現代では習慣が身につかなかった時、挫折する要因と解決策まで研究されています。
本当恵まれた時代です。
習慣や努力で挫折することは、始まる前から決まっている宿命のような一面もあるので
普段から対応を準備しておきましょう。
まとめ
- 習慣は身につけるほど無感情になりモチベーションが低下してくる
- 退屈は簡略化を意識したアレンジで乗り切る
- 失敗した時は自分を責めずにセルフコンパッション能力を発動する
- 努力は報われない事を認め、常に戦略を意識する
- ある程度計画できたら行動するのが大切