目次
- 1 目標や行動を妨げる心的バリアをACTで乗り越える方法
- 2 目標や行動を妨げる心的バリアFEAR
- 3 F=Fusion(フュージョン)
- 4 E=Excessive goals(高すぎるゴール)
- 5 A=Avoidance of discomfort(不快の回避)
- 6 R=Remoteness from values(価値からの乖離『かいり』)
- 7 「FEAR(恐れ)」の対応策「DARE(勇気)」
- 8 D=Defusion(脱フュージョン)
- 9 A=Acceptance of discomfort(不快の受け入れ/アクセプタンス)
- 10 R=Realistic gole(現実的なゴール)
- 11 E=Embracing values(価値を確かめる)
- 12 できない理由作りセルフハンディーキャッピング
- 13 まとめ
目標や行動を妨げる心的バリアをACTで乗り越える方法
計画や目標を立ていざ行動に移そう、積極的に生活を変えようとしたときにぶつかってしまう様々な心の壁があります。
そんな時、このブログで重点的に紹介してきたACT心理療法=
ACTの要素
- 価値を明確にすること
- ゴール設定
- 脱フュージョン
- アクセプタンス
が有効な対策になります。
モチベーションの低下や計画を行動に移せないなどの問題が起きた際にACTを使って向き合う方法をご紹介。
心の壁で代表的な「セルフハンディーキャッピング」と「FEAR(恐れ)」についての解説、その対応策「DARE(勇気)」をご紹介します。
よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門
目標や行動を妨げる心的バリアFEAR
「FEAR(恐れ)」は現状を変えようとするときに現れる代表的な心のバリア、その頭文字で表した言葉で、4つの項目から構成されています。
- F=Fusion(フュージョン)
- E=Excessive goals(高すぎるゴール)
- A=Avoidance of discomfort(不快の回避)
- R=Remoteness from values(価値からの乖離『かいり』」
それぞれについて詳しくみていきましょう。
F=Fusion(フュージョン)
物事を変えようとするとき、大抵否定的な思考が浮かんできます「忙しくて無理」「どうせ上手くいかない」「難しすぎる」などです。
こういった思考は、完璧主義やホメオスタシス(脳の恒常性維持機能)が強まる20代後半などに特に強まってきます。
こういった思考とフュージョン(一体化)してしまうと進路を妨害され前に進めなくなります。
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E=Excessive goals(高すぎるゴール)
よくやってしまいがちですが、無理なゴールを設定をしたり、上達や計画を短く見積りすぎる計画錯誤に陥る場合があります。
自分の能力、時間、資金、健康などの条件をはるかに超えた高すぎるゴールを設定すれば、最終的に諦めるか失敗するかのどちらかになります。
倒れない計画術 まずは挫折・失敗・サボりを計画せよ!
A=Avoidance of discomfort(不快の回避)
何かを変えようとすると不快な感情が生まれます。
最も一般的なものは不安です。
不安は押さえつけようとしたり、目をそらす事でより強くなってしまいます。
この不安感を受け入れようとしなければ先に進む事ができなくなり、自分の安全領域(comfort zone)に止まってしまいます。
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R=Remoteness from values(価値からの乖離『かいり』)
目標やゴールの背後にある価値や、価値自体に意味も重要性も感じられなくなったとき、あっという間に行動の動機を失います。
価値からの乖離を示す代表的な状態は以下の4つです。
- 価値に近づけないか、近づこうとしない
- 価値をルールや道徳と混同する
- 口では価値の話をしていても本当には接触していない
- 自分の価値ではなく、宗教的価値、文化的価値、親の価値等をあげる
「FEAR(恐れ)」の対応策「DARE(勇気)」
ご紹介した「FEAR(恐れ)」の対応策「DARE(勇気)」も頭文字をとって4つから構成されています。
- D=Defusion(脱フュージョン)
- A=Acceptance of discomfort(不快の受け入れ/アクセプタンス)
- R=Realistic gole(現実的なゴール)
- E=Embracing values(価値を確かめる)
様々な場面でまず「FEAR」の項目を見て自分の状態を確認してから、対応する「DARE」を実践するのが効果的です。
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D=Defusion(脱フュージョン)
自分の邪魔をする思考に気付き、それを突き止めて脱フュージョンしましょう。
A=Acceptance of discomfort(不快の受け入れ/アクセプタンス)
不快感情は押し殺そうとすれば増大してしまいます。
また、耐えたり、戦ったりすれば無駄な体力を消耗します。
不快な感情を受け入れ、共存して、そのままにした状態で行動できることを学び実践してみましょう。
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R=Realistic gole(現実的なゴール)
ゴール達成が不可能な目標を立ててしまった場合、2つの選択肢があります。
①ゴールを達成可能にするための新しいゴール設定する。
技術が足りていないならそれを身につける新しいゴールを、お金が足りていないなら貯金や資金作り、時間が足りないならスケジュールの調整や超時間術を読んでみるなど新しいゴールを作る。
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②現実を受け入れてできる限り良い形で現実可能なゴールへと変更する
例えば、バスケの弱小校が大会で強豪校と試合をすることになったとします。
現実的に勝つ見込みはゼロだとしても「相手を100点以下に抑えて、こちらは40点以上とる」など現実的目標に切り替えてみましょう。
そうすることで、勝利は目標であり、バスケで得られる人生の価値に集中することができます。
勝利が手に入らない状況でも、選手がバスケをする価値や意味は達成することができる事に気付き、全力で試合に挑む可能性が高まります。
このように、単に目標を下げるのではなく、目標の変更で視点を変えることができます。
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E=Embracing values(価値を確かめる)
動機が欠けていると感じる時は、その活動をする理由を振り返ってみましょう。
活動や行動にどんな意味があるか、何が重要か、それは本当に重要か、などです。
目標を立てた時に書いた紙を見直すのもいいです。
自分が活動をしていく中で、新しい価値観に出会ったり、気付いたりする場合もあります。
改めて一度価値を確かめてみましょう。
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド
できない理由作りセルフハンディーキャッピング
勉強、課題、運動、貯金これら全て早めに始めた方がいいことは誰にとっても明らかです。
ですが私達は、挑戦や行動をする時、安心領域の外へ出るような活動に関して、なぜ今それをする事ができないのか、してはいけないのか理由を思いつくのが得意です。
その理由は、自尊心を守る「言い訳作り」という先延ばしに発展する場合があります。
先延ばしする人は早死にする! 「あとで」を「すぐやる」に変える心理学
このような「行動の失敗に対する予防線(言い訳)を自ら事前に貼っておく」という行動心理をセルフ・ハンディキャッピングと呼びます。
- テストの前に部屋を掃除し始める
- 大事な仕事の前日に深酒
- アドリブ力が有ると自分に言い聞かせ、事前に準備をしない
- 慎重に考えるべき場面とわかっていながらあえて不用意な決断をする
- 行動を起こす前に「ちょっとSNSを確認」と携帯を何時間も弄る
セルフ・ハンディキャッピングはわざと自分で失敗後の言い訳になる行動をとる事で、成果が上がらずに傷つくことから救われようとする心理です。
対応策としては、セルフ・ハンディキャッピングが起きそうになった時に今回紹介したアクセプタンスを行い、行動を優先する方法や
また、よく自尊心と比較されるセルフコンパッションを鍛えて失敗にたいして自らを労る習慣を作ることが効果的で有ると考えられます。
セルフ・コンパッションのやさしい実践ワークブック
まとめ
私も色々なテクニックを学ぶと、すぐにそれが身に付いたような気分になってしまう事がよくあります。
ですが自転車の乗り方やスケボーの乗り方を、もし本で完璧に学んでも
いざ行動に移そうとしたら外に出るのが面倒に感じたり、実際乗りこなすまでには何度もコケるでしょうし、楽しく感じなくなることや、目的を見失うことも有ると思います。
そんな、実際に行動や習慣を妨げるのが「FEAR(恐れ)」で、その対応策が「DARE(勇気)」です。
恐れと勇気って、考えた人カッコ良すぎです。
まとめ
- 行動に移せない時はFEAR(恐れ)の各項目をチェックする
- 項目に対応するDARE(勇気)を行い対応する
- セルフハンディキャッピングが起きてないか確認する
- アクセプタンスやセルフコンパッションが対策になる