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完璧主義を活用しよう!完璧主義が健全に機能するとき/不健全に機能するとき
前回は完璧主義傾向が強い人に見られる
行動や態度の特徴を解説しました。
完璧主義自体は良いものでもなく
悪いものでもなく、自分の中から取り除かないといけないものでもありません。
まずは自分の完璧主義が上手く、健全に機能しているか
それとも不健全に機能しマイナスの面が出てきているのか考えてみましょう!
今回も元ハーバード大学医学大学院で
現在は国際強迫性障害財団の理事を務めるジェフ・シマンスキーの提唱する
完璧主義が健全に機能する面と
不健全に機能する面をいくつか解説します。
完璧主義を取り去るのではなく
健全に機能させる方法のヒントになれば幸いです。
場面別!完璧主義がどう機能するか?
- 基準の設定の仕方
- 優先順位の付け方
- ミスをしたときの反応
- 評価に対する反応
- 周囲との関係
基準の設定の仕方
完璧主義は自分で目標を設定する傾向があると前回の記事で解説しました。
完璧主義に対する研究では
「自分に高い要求をする人の方が概ねいい結果を出す」と
繰り返し報告されているようです。
なので自分で高い目標を設定することは悪いことではないのす。
「基準設定の仕方」が健全か・不健全か考える時は以下のポイントを意識しましょう。
健全な基準設定ができている場合
「だいたい目標を達成するか、ほぼ納得の行く結果が出せる」
不健全な完璧主義による目標設定の特徴は
「目標と結果にはいつも大きな差がある」ことです。
「ジムには毎日通って1ヶ月で体重−10kg!(1週間で挫折)」
「どうして自分はいつも目標を達成できないんだ(自己批判)」
「達成できている人もいるのに、できない自分は能力の低いダメ人間なんだ(自尊心の低下)」
自分で行った目標設定が
- 健全な場合=努力やモチベーション、成長の実感、自己効力感、成果に繋がり
- 不健全な場合=不安や不満、自尊心の低下、自己否定感などに繋がります。
自分の目標設定の傾向を確認してみましょう!
優先順位の付け方
完璧主義者は多くの事柄で完璧を目指してしまう傾向がります。
仕事でも趣味でも素晴らしい成績を収めたいと感じてしまう人も多いようです。
「仕事では皆から好かれる有能上司
趣味ではプロレベルの釣り人で
家庭では素晴らしい親でパートナー、全て完璧になりたい!」
「優先順位」における完璧主義傾向が健全に発揮されている場合
作業の関連度や重要度に応じて時間とエネルギーを分配し
適切な優先順位で行動することができます。
「今週は仕事に集中しないと!」
「今週末は家族との時間をしっかり取ろう」
「趣味はほどほどにする時期だな」
「この作業には時間と労力をかけて、こっちは及第点ぐらいの出来でいいや」
これが不健全になってしまうと
一度に複数の作業が舞い込んだ時、全てが同じ重要度に感じられ
全てに同じ力を注ぐ必要が有ると感じてしまいます。
「仕事が忙しいのに、家族との約束と趣味友との約束までしてしまった」
「どの作業も高いレベルで達成しないといけない…けど時間も量力もお金も不足してる」
「結局どれも中途半端で締め切りをオーバーしてしまた」
健全な場面では
- 締切の期限を守った上で室の高い作業を行える
- 整理整頓をすることで作業効率が増し時間を節約できる
- 自分が求めることに時間とお金を上手く配分でき成果を収める
などのメリットが表れますが
不健全な場面では
- 細かなことにも力を注いでしまって期限や締切を守れない
- 整理整頓自体に時間を取られて逆に効率が低下する
- 自分の人生の価値に時間とお金を適正に配分できない
などに陥ってしまうこともあります。
ミスを避ける・ミスをしたときの反応
完璧主義の特徴の1つは「ミスを避けようとする」ことです。
ミスを好む人はいないと思いますが
全てにおいてミスを完璧に無くすことが不可能なことを理解してないといけません。
ミスが起きた時、失敗を避けようとする時
健全と不健全では反応が大きく異なります。
- 「ミスを減らすためにはどのようなことができるだろう?」
- 「ここはミスしたけど、ここは評価できる点だな!」
- 「自分にも得意・不得意があるからできないことも有るよね」
- 「ミスして落ち込んだけど、次回はどうしたら良いか考えてみよう」
このように
挑戦を楽しみ、意欲と集中力が高まった状態になります。
問題を解決する過程にやりがいや楽しさを感じるのです。
自己評価も上手く言った面と、行かなかった面をバランスよく評価します。
ミスを予防する努力が質の高い、いい結果を生み出します。
またミスして落ち込むことは合っても、自己批判より解決策に意識が向かいます。
これが不健全になると
- 「ミスしないことが第一だ!余計なことはするんじゃない」
- 「ミスしたらどうしよう、失敗をゼロにしないといけない」
- 「最後でミスしたから全部台無しだ」
- 「自分はこんなことも完璧に行えないのか、自分にがっかりする」
このように
常にミスを恐れストレスをため
ミスしない事を第一に考え、挑戦や工夫をしなくなります。
ミスを避けるため「見直し」などに余計な時間を使いすぎ
全体的に上手く進んでいても1つの失敗で自分に嫌気が差し自信を失います。
1つのミスで全てが台無しになったと感じて
極端に自己評価が低い状態に陥ります。
評価や批判に対する反応
完璧主義は批判に対する反応も特徴的です。
健全な場合は
- 批判や指摘を、自分をより良くするものと捉える
- 周りの評価や批判もフィードバックとして活用する
- 評価や批判に客観性があり、活用できる情報かそうでないかを判断する
などの対応を行うことができます。
不健全な場合は
- 評価や批判を自分が完璧でないことの証明だと受け取ってしまう
- 批判に対して逃げ腰になりフィードバックを活用できない
- 責められている、指摘されている感覚に大きなストレスを感じる
また批判やフィードバックを「全て完璧に改善しないと!」と思い込んでしまうと
フィードバックを取捨選択できず「全ての人の要望を叶える」という
これまた現実不可能な思考に向いてしまうこともあります。
他人の期待に応えたり、機嫌を取ることに労力を使い
自分の目標が後回しになってしましいます。
周囲との関係
完璧主義の傾向は周囲との関係にまで影響します。
完璧主義が健全な方向に向いていると
仕事や作業をより良くするために
作業途中でも他人の意見やコメントを聞こうとします。
チームとしても最大限の力が発揮できるように関係を築く事ができるのです。
ですが不健全な場合
ミスを恐れ逃げ腰で、自分にも周囲の人にも満足できず
一方的に批判ばかりする辛辣な言動が増えてしまう場合があります。
完璧を目指しすぎるあまり、周囲の人が萎縮してしまい柔軟性を失い
チームとして機能しなくなる場合もあります。
またチーム内のフィードバックも批判と受け取り、傷ついたリアクションをすることで
周りの人が意見を言いにくい存在になってしまうこともあります。
まとめ
完璧主義を自分の中から完全に消し去ることはありません。
完璧主義は多くの人にとって成功の要因でもありながら
ストレスや自尊心の低下、人間関係悪化の原因にもなってしまうのです。
なので
完璧主義が健全に機能する場合と
不健全に機能している面を理解して
より健全に近づける取り組みを行うことが大切だと思います。
「実現可能な目標設定を段階的に行おう!スモールゴールも設定しよう」
「目標までは到達しなかったけど8割ぐたいクリアしたし、成長できたから上出来だな!」