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バイアスとは?脳が陥りやすい都合のいい思い込み!基本的な解説と本の紹介
最近「バイアス」という言葉をよく耳にします。
バイアスとは
- 傾向
- 先入観
- 偏り
- 認識の歪み
など!簡単に言うと思い込みです。

頑固な老人、偏見の強い政治活動家、新しいやり方を認めない上司など、皆さんもバイアスが強まっている人が思い浮かぶと思います。
思い込みで物事を判断してしまうと
合理性を欠いて選択を誤ったり、チャンスを逃したり、バイアスをビジネスに取り込んでいる相手と損な取引を結んでしまったり様々なデメリットがあります。
今回はバイアスの基礎的な説明と、バイアス対策におすすめの本をご紹介しようと思います。
なぜバイアスがあるのか
バイアスは現在60〜80種類ほど発見されています。
なぜこれほど多くの思い込みが存在しているのでしょうか。
それは脳の処理に関わる問題や進化の過程が大く関わっています。
⬇特におすすめ!2020年10月に出た最新のクリティカルシンキング=批判的思考の本です
問題を解いて行くことで
知らない内に陥っている思い込み、判断の歪みを直し、科学的思考を学ぶことができます!
思考力改善ドリル: 批判的思考から科学的思考へ
バイアス:脳の省エネの役割
人間の脳は体重の2%ほどの重量しかありませんが、エネルギーの20%ほどを消費しています。
なんと、将棋の羽生善治さんは昔「1日本気で対局すると体重が2kgほど減る」と話していました。

他の動物よりも大きく高性能な脳を搭載している人間は、無意識に思考を省エネし、脳の負担を減らそうとしています。
ですので数学の公式のように、複雑な過程を要約した結果であるバイアスを定着させると、複雑な過程や例外を考える手間が省け、脳を省エネできます。
思考が円滑になり省略、簡略化できるのです。

そのため脳は無意識にバイアスを増やしていき、歳を取るほどにどんどんバイアスまみれの一辺倒な考えしかできない頑固な人間が出来上がります。
- 効率的で短時間労働の職員より、長時間労働の職員を評価する上司(価値フィルタバイアス)
- 自分の都合良い情報を集め、悪い情報は無視する(確証バイアス)
- 客観的にみて能力が低いのに、自己評価がやたら高い人(ダニングクルーガー効果)
- 自分の容姿、常識、能力、倫理観などが平均以上だと感じてしてしまう(平均以上バイアス)
- 自分の所属する集団が、他の集団より優れていると感じる(内集団バイアス)
進化の過程で身についたバイアス
バイアスは生まれ育った環境、職場や交友関係でも生まれますが、人間が進化の過程で身に付け脳にインプットしたバイアスもあります。
- ネガティブな情報を信じたり、重要視する(ネガティブ・バイアス)
- 変化を避け現状を維持しようとする(現状維持バイアス)
- 得をしたい気持ちより、損をしたくない気持ちの方が強い(損失回避の法則)
私たちの脳は、狩をして暮らしていた「狩猟民族」の頃に、ほとんど今と変わらない状態に進化していました。

その頃に生存率を高めるためにインプットされた心理やバイアスは今もなお私達の脳に引き継がれています。
しかし、この100年ほどで人間の文化や生活レベルは激変し、何万年も狩をしていた頃に身に付けた心理やバイアスが適さない場面も増えてきているのです。

バイアスを学び、環境のギャップを理解すると、現代で合理的に暮らしやすくなる場面も増えてきます。
- 10万人のフェンがいても、活動的な100人のアンチの言動に傷ついてしまう
- 完全にブラック企業で転職するべきなのに、もう少し頑張ってみようと考える
- 損をする可能性を強調され、得をする選択を見過ごす
- 外部の意見や時代の変化を取り入れず競争に乗り遅れ会社が潰れる
バイアスから逃れる方法
バイアスを完全に取り去ったり、完璧に囚われないのは不可能です。
ですが、バイアスを和らげたり回避しやすくする方法はあります。
そのようなバイアスから逃れる方法のことをデバイアスと呼びます。
一番分かりやすいデバイアスは「バイアスを知って自分が当てはまっていないか考えること」です。
これからもブログで様々なバイアスについてご紹介していこうと思っているので、その記事を読んで
「自分はこのバイアスに該当してないか?」と考えるだけでバイアスは一時的に弱まることが分かっています。

その他、バイアスについて専門的に書かれている関連書籍をご紹介いたします。
それらの本でバイアスを知ることがデバイアスの第一歩です。
バイアスについての関連書籍
有名どころ、読みやすい物をご紹介します。
文庫本になっていて手軽な値段で持ち運びに便利な本もありますので
自分に会った本を見つけてみましょう。

無理なく限界を突破するための心理学 突破力/メンタリストDaiGo
DaiGoさんのこの「無理なく限界を突破するための心理学 突破力」は一見なんのための本なのか分かりませんでしたが、これはバイアスについて書かれている本でした。
今の自分を超えるには
「出来る」と思い込んでいるバイアスと「出来ない」と思い込んでいるバイアス両方をケアする事で、合理的に今までと違うことが出来るという内容です。
この本の特徴
- 内容が分かりやすく完結
- 読み切るまでに時間がかからない
- 実用的で実践的
- 日本の著者のため例えや実例が分かりやすい
この後紹介する本が、より専門的になるので、一番手軽に分かりやすくバイアスについて知りたい方におすすめです。
ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?/ダニエル・カーネマン
ノーベル賞受賞者ダニエルカーネマンの著書「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」です。
- 直感的でさっと答えを導き出す早い思考
- 合理的で熟考するゆっくりとした遅い思考
脳の働きを「早い、遅い」2つのシステムに分けて考え解説することで、バイアスの原因や錯覚などを分かりやすく、深く解説した名著です。
こんな人におすすめ
- ダニエルカーネマンの本を読んでおきたい
- 認知科学についても知りたい
- 濃い内容でガッツリ学びたい
- 手軽な文庫本がいい
内容が濃く、冒頭部分にやや理解が難しい部分もあり、私は読み切るのにけっこう時間がかかりました。
ですがとても身近な例や、有名な実験を参照して全てのページに驚きと発見があるような本です。
一つ一つのバイアスについて学ぶのも良いですが、この本を理解すれば、どうしてそのようなバイアスに陥るのか、説明がなくても推察出来る能力が身につくような本です。
文庫本で上下刊構成です。
情報を正しく選択するための認知バイアス事典
バイアスを全く知らない大学生が初めて授業で使うくらいの内容の本です。
研究で分かっているだけでも170種類以上有ると言われるバイアスを
- 論理学
- 認知科学
- 社会心理学
の3分野から20個ずつ
合計60種類紹介しています。
紹介された各バイアスには更に詳しく知りたい方にオススメの関連書籍も紹介してあります。
イラストや図も多く分かりやすく読みやすいです。
自分の興味のあるバイアスを見つけるのにおすすめです。
そしてそこから更に深堀りしていく窓口になるような本です。
明日の幸せを科学する/ダニエル・ギルバート
次はダニエル・ギルバートさんの「明日の幸せを科学する」です。
ダニエル・ギルバートさんは予測や期待、妄想といった心理についての研究が多く
「未来の出来事に対する自分の反応をどれくらい正確に予測できるか」を研究しているハーバード大学の社会心理学教授です。
この本は「そもそもなんで人は予測をするのか?」「幸せとは何か?」が序盤に語られているところが面白いと感じます。
こういったテーマに興味がある人にはとてもおすすめです。

そこから感覚や時間、合理化などを行うときの人間の認知の癖や思い込み=バイアスについて解説されます。
時間と幸福という要素が強く、将来のことや、これからの選択などにとても役立つ内容です。
タイトルから「幸せになる方法」が書いてある本だと思って購入される人がいるようですが
私達が「幸せになる」と思って取った行動が、どうして幸せな結果につながらないのか、それに関わるバイアスについて書かれている本です!
文庫本があり、カーネマンの本よりさっと読めます。
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ダン・アリエリー
最後はダン・アリエリーさんの「予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす(あなたがそれを選ぶわけ)」です。
デューク大学教授のダン・アリエリーは行動経済学研究の第一人者です。
アリエリーはビジネスや投資、政治の世界でもみられる、人の合理性や理性を惑わすバイアスなどについての専門家でもあります。

高い物の方が効果が有ると感じる思い込みや、経済学的なプラセボ効果、無料の力についてなど、ビジネスや経済におけるバイアスが知りたい方におすすめの本です。
私は増補版を注文して、本が家に届いた時は「分厚いなー」と思いましたが、中の字が大きく、思っていたより早く読み切れました。
文庫本も出ています。
その他おすすめ
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
は最近少し多くなって来た「世界ってそんなに悪い方向に進んでないのでは?」系統の本です。
地球規模の問題を扱っています。
初めて聞くと信じられないかも知れませんが、私たちが世界に感じている様々な問題や負のイメージは、本当に正しいのかを問う一冊です。
ですが、重要な問題を楽天的に扱う本ではありません。

世界のあり方を新しい切り口で見ることで世界に対するバイアスが減る感じの本です。
データーの見せ方で誘導しているとの意見もあるようですが、新しい視点を得るという点では面白いのでおすすめです。
世界はどんどん悪くなって破滅に向かっているんだ!という気持ちの強い人、それはバイアスによって引き起こされたイメージかもしれません。
是非一度読んでみてはいかがでしょう?
あと、人間は意思や自分の選択ではなく、自分の置かれた状況によって判断をしていることを教えてくれる本も思い込みを減らすという点ではおすすめです。
サムサマーズの考えてるつもり ―「状況」に流されまくる人たちの心理学
ロバートチェルディーニの影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
がおすすめです!
おまけで紹介した3冊は分厚くてガッツリ系です。
まとめ
今回はバイアスについて解説しました。
冒頭でも説明しましたが数多くのバイアスが発見されています。
それらのデメリットを知り、選択や決定に役立てて行くことが大切だと思います。
まとめ
- バイアスが強まると不合理な選択や偏見、偏った考えが増えてくる
- バイアスは脳の省エネや、進化の過程でインプットされた思い込み
- デバイアスする方法の一つは「バイアスを知ること」
- デバイアスにおすすめの書籍紹介