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デバイアス/思い込みを減らし合理的な選択や客観性を高める方法
バイアスには認識を歪めたり、後悔の多い選択をするきっかけになってしまうデメリットが有ります。
そんなバイアスを軽減する方法を=『デバイアス』といいます。
これまでにご紹介したデバイアスは「バイアスを知ること」「知的謙遜」の二つでした。
今回はデバイアス=バイアスを軽減し、合理的判断や客観性を高める様々なテクニックをご紹介していこうと思います。
ムダに悩まない理想の自分になれる 超客観力
ワン・アット・ア・タイム戦略
ワン・アット・ア・タイム戦略はひとつずつ情報を吟味しながら候補を絞り込んでいくテクニックです。
バイアスを抑え、なるべく合理的な判断をするための方法で、まとめて比較するより、ひとつづつ検討する方が20〜30%判断能力が上がるという報告があります。
例えば3つの選択肢で迷ってしまった時、私達は3つを横並びにし一度に比較しがちです。
- 料理コースの松竹梅
- 最初はどのポケモンにするか
- 行動をするか、しないか、保留か
どれかを選べば、その他の選択肢を選ばなかった後悔や、チャンスを失った感覚になるなど、タイプの違う選択肢を比較するのは難しいことです。
選択が難しくなるほど周辺状況やバイアスなど、思考を円滑にしようとする力が働いて意思決定に影響を及ぼします。
そんな時は「ワン・アット・ア・タイム戦略」を使ってメリット/デメリットを個別に考えてみましょう。
- ✖️=一度に全選択肢を比較する。
- ○=「選択肢Aのメリットとデメリットについて考える」→「次はB」→「その次はC」
後悔しない超選択術
弁証法的ブーストラップ
デューク大学などの研究で効果が確認された弁証法的ブーストラップは「極端な思考同士の真ん中を選ぼう」というテクニックです。
人間には物事を極端に捉えがちなバイアスがあり、それを逆手にとったイメージです。
情報Aに弁証法的ブーストラップを行うとしたら
- 情報Aは直感的にどれくらい重要か自問する=直感思考
- 情報Aが完全に間違っていると想定して重要度を自問する=反対思考
- ①と②の重要度の真ん中辺りの判断を採用する=中庸思考
例:大学を辞めて芸能界に入るかの選択
「直感思考=直感的には今すぐに大学を辞めて芸能界に入ってみたい。少しリスクは有るだろうけど今しかできないことだと感んじる」
「反対思考=もし芸能界が自分の思っている華々しい所じゃなくて、闇の深い、衰退して行ってる業界だとしたら。大学卒業して就職するより後悔が大きいかも」
「中庸思考=芸能界に今すぐ入りたいけど、リスクが思ったより大きいのかも。芸能界についての情報をもっと集めて、YouTubeやSNSみたいに個人でできる低リスクな活動がないか考えてみよう」
知ってるつもり 無知の科学 (早川書房)
問題分割
問題を分割して考えてみる「問題分割」というテクニックもデバイアスには有効です。
バイアスは「極端にポジティブ」か「極端にネガティブ」になることが多いです。
特に、間近に迫った問題に対しては「なんんとかなるだろう」と楽天的になるか「絶対無理だ」と悲観的になるかが多く、適切な選択や行動が難しくなります。
そこで問題を分割して考えることで行動が明確になり良い判断や行動ができる可能性が高まります。
- 問題を最低5個のプロセスに分割する
- 5個の中から自分にとって最も重要なものを選ぶ
- ②で選んだものをさらに細かく分割する
ひとつの問題を分割することで複数の視点を手に入れることができます。
具体化された問題は明確になり、行動に移しやすくなったり、極端な思考(バイアス)を避ける効果が高まります。
分割については過去に詳しい分割テクニックをご紹介していますので気になる方はチェックしてみてください。
ダブル・エスティメーション
ダブル・エスティメーションは=2度考えるテクニックです。
皆さんも経験があると思いますが、夜のテンション、衝動的な選択、周りに影響された行動など、人間の選択や判断、認識は時間や状況に大きく影響されています。
なのでひとつの問題を、時間や状況を変えて2度考えてみましょう。
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未来と失敗について考える
スタンフォード大学などが発表しているデバイアスは「失敗と解決策を想定する」と「未来について考える」ことです。
先ほどもバイアスは極端な思考に陥りがちだと解説しました。
なので、選択に迷ったら
- 選択が失敗に終わったらどうなるか考える
- その失敗の原因と解決策を考える
- 20年後の絶望的な未来を想像する
- 最悪の事態と解決策を考える
- 半年後、1年後の自分はどう考えるか想定してみる
- 老人になった時を考える
これらについて考えることで「自分に都合の良い情報を集める」や「調子のいい現状がずっと続いていく」などのバイアスが軽減し、現実的な判断や、複数の視点を得ることができます。
デバイアスの注意点
バイアスの研究で分かっていることは「自分はバイアスにかからない」と思っている人が一番バイアスにかかりやすいことです。
「自分に思い込みなどない!」と思っている人ほど気をつけてください。
また複数の観察研究で効果が確認されている「バイアスについて学ぶ」デバイアスを行なった人達は、その直後から思考の偏りに惑わされにくくなり、正しい判断を行う確率が上がったとされています。
ですが、判断力が高まった期間はおよそ2〜3週間だけでした。
人間は常にバイアスを作り出そうともしているので、定期的に人間の不合理生を学ぶように意識してみましょう。
バイアスを完全に消すことはできません。
既に何からのバイアスに陥っているのではないか?と考える人や知的謙遜能力が強い人の方がバイアスには陥りにくいと言えます。
まとめ
今回ご紹介したデバイアス全体的に言えることは
まとめ
- ひとつずつメリット/デメリットを検証しよう
- 極端な思考に気をつけて判断しよう
- 複数の視点と客観的視点を持とう
- 判断の時間差と失敗の想定もしよう
と言えそうです。
問題分割のような少し時間のかかるテクニックから、2度考えよう!のように手軽なテクニックまであるので、是非活用してみてください。