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あなたも思い込んでる!特に気を付けたいバイアス後編
バイアスについての基本的な解説と、バイアスから逃れる方法=デバイアスには「バイアスについて知り自分が当てはまってないか考えること」が有効だと解説しました。
そこで今回は60〜80種類以上有ると言われているバイアスの中から、特に皆さんの不幸や低評価に直結するバイアスをご紹介する記事後編です。
前回に引き続き、日常に潜むバイアスを知る事で、思い込みや損をする選択をしていないかセルフチェックしてみましょう。
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問題を解いて行くことで
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確証バイアス/妄想バイアス
確証(かくしょう)バイアスは「反対の証拠が多く有るのに自分の考えを変えない」人が陥っているバイアスです。
自分の考えや価値の証拠を優先的に集め、反対の意見を無視してしまうバイアスです。
- 喫煙は体に悪いデータが出揃っているが「タバコを吸っていても長生きしている人はいる!」と反論する
- 肥満の診断が出ても「欧米にはもっと太ってる人もいるし自分はまだ大丈夫」と考える
- 科学的に根拠のない、SNSの怪しい広告が伝えるメリットだけを鵜呑みにする
自分に有利な情報集めが強まり過ぎて、妄想の様な思い込みをする妄想バイアスも注意が必要です。
- 1000円で勝つ時もある!と全くお金がないのにパチンコに行く
- 自分に都合の良い展開だけを妄想して「この投資は絶対に成功する」
- 来月ボーナスだからこの位大丈夫だ!と衝動買いからの散財
このバイアスを防ぐには、他者の意見や反論を尊重する知的謙遜能力を高めたり、数字や統計などの客観性を持つ様に意識しましょう。
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機会費用誤認バイアス
機会費用誤認(きかいひようごにん)バイアスの「費用」とは=失ったもののことです。
例えばYouTubeをだらだら何時間も見てしまった時は、本を読む機会を失っていると考えることができます。
その様な〇〇した時に、〇〇する機会(チャンス)を失っている事実を誤って認識してしまうのが機会費用誤認バイアスです。
大学の友人にゲームにハマって1000時間プレーした人がいました。
もちろんゲームをして楽しい時間を過ごした、満足を得たと考えることができます。
ですが仮に、1000時間アルバイトしていたら
「社会経験+100万円近くの給料+その給料を使って得ることの出来た喜び」を得る機会は逃しているともいえます。
また、1000時間を英語学習に使っていたら、将来的に得られた様々な機会を失っているとも考えられます。
これが機会費用です。
過去に対して機会費用を見直し、後悔を繰り返してもしょうがないので「過去の行動で得たもの」と「現在の行動の機会費用」について考えてみましょう。
だらけずに動き続けろというわけではりません。
機会費用にも意識を向け、自分でも罪悪感を感じる様な怠け、時間の無駄は避けましょう。
計画的に余暇を楽しんだり、娯楽に興じたり、休憩を取る意識を持ちましょう。
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サンクコスト効果=埋没費用の誤謬(まいぼつひようのごびゅう)
サンクコストとは=注ぎ込んだ費用、コスト(努力/感情/お金など)の事です。
サンクコスト効果は、既に取り戻すことの出来なくなったサンクコストがあるために
サンクコスト効果の特徴
- コストを取り戻そうとする
- 事態を完結させようとする
- 期待し続けようとする
心理のことです。
つまり、既にかけたお金や時間の元を取るため、損な取引を続けてしまうことです。
例えば、皆さんがずっと観たかった映画があったとします。
その映画を観るために、2日前からネット予約を行い、他の予定を断って、わざわざ遠くの映画館まで雨の中観に行ったとします。
ですが本編120分の60分時点で、映画がとてもつまらないことに気がつきました。
ここで
- せっかく来たんだし最後まで観よう
- この映画の面白い所をなんとかして見つけ出そう
- 最後まで見て笑い話にでもしよう
- 最後の最後で面白くなるかもしれない
などと考えてしまうのがサンクコスト効果です。
機会費用の観点からも、つまらない映画に残りの1時間を捧げるより、映画館を出て1時間本を読んだり、初めての土地を散策した方が有益です。
ですが映画を観るまでにかかったサンクコストを大きく見積り過ぎているため、損切りすることができないのです。
- 付き合うまでに時間のかかったカップルがお互い合わないと分かっていながら別れられない
- 持ってきた10万円のうち、既に8万円このパチンコ台に突っ込んでるから、全額使い切るまで辞められない
- ソシャゲのガチャで100連して狙いのキャラが出ず、そこから出るまで回し続けてしまう。
- 7億円の橋を、5億円分まで作った時点で、橋に経済効果がほとんど無いと分かったが、残りの2億円分作りきってしまう
- 苦労して就職した会社だから、ブラックと分かっていても辞められない
サンクコスト効果は端から見ていると避けられそうですが、いざ自分が陥ってみると抜け出すのは容易ではありません。
サンクコスト効果を利用したようなビジネスモデルもたまに見かけます。
第三者の意見を参考にしたり、常にゼロベース=現在から見てどうか、友達にアドバイスするなら何て言うかなどを意識してみましょう。
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
感情原因バイアス
感情が行動の原因だと捉えすぎるバイアスです。
人間が行動するには感情が伴わないといけない、やる気がないと行動しない、眠くならないと寝ないなど行動が感情ベースだと強く思い込んでしまう場合があります。
実際は感情と行動は相互作用があることが様々な心理実験や行動実験でわかっています。
やる気がないから怠けるではなく、行動で感情が動く事を意識しましょう。
知ってるつもり 無知の科学 (早川書房)
モラルライセンシング
モラルライセンシングはちょっといいことをすると、悪いことをしても構わないと感じるバイアスです。
有名なのはランニングモラルハザードと呼ばれる
「ランニングしたから高カロリーな食事をしても大丈夫だろう」と思う心理動作です。
ランニングは体重✖️走行距離=消費カロリーが大まかな計算方法なので
60kgの人が30分かけて5km走っても消費カロリーは300kcal=おにぎり二個分程度です。
〇〇したからちょっと悪いことをしてもいい、昨日頑張ったから今日はいい、リバウンドや習慣を途切れさせる原因、努力を無にするバイアスです。
流暢性(りゅうちょうせい)の罠
流暢生の罠とは=なんとなくわかったことを完全に理解したものと思い込むバイアスです。
テスト勉強で教科書にラインマーカーやボールペンで印をつける経験は誰しもあると思います。
ところが多くの心理学者は、ハイライトやアンダーラインを使った勉強法を「ただの気休め」と読んでいます。
なぜなら脳は「認知した事を=記憶した/前から知っていた」と勘違いする性質があるからです。
なのでラインマーカーなどで脳に情報を認知させると「これは既に覚えたからもういいや!」と記憶に定着させないのです。
流暢性の罠は「解けない問題の答えを直ぐに見る」ことでも起ます。
本当はわかってない問題も、答えを直ぐ見てしまうと、解き方を初めから理解していたと勘違いが起き、失敗から学ぶ要素が損なわれます。
対策としては、覚えることに重点をおく勉強から「思い出すこと、利用すること」に重点をおいた想起学習へ移行したり、ちゃんと理解しているか他人に説明してみたり、ソクラテス式問答で自問したりしてみましょう。
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まとめ
「自分はバイアスなんてかかっていない」と思っているほど思い込みが強い傾向がある様です。
今回ご紹介したバイアスが自分にあてはまっていないか、当てはまった経験は無いかセルフチェックしてみましょう。
まとめ
- 自分に都合の良い情報を集めるバイアス
- 失った機会を見誤るバイアス
- お金や時間や労力を見誤るバイアス
- 感情が行動の原因だと思うバイアス
- いい事をしたら悪い事をしても良いと思うバイアス
- 完全に理解したと思い込むバイアス