知識の錯覚はどうして起きるのか?スティーブンスローマンの岩石実験

知識の錯覚 アイキャッチ

知識の錯覚はどうして起きるのか?スティーブンスローマンの岩石実験

 

 

たてがみ君

知ったか振り

知らないことを知っているかのように見せかけて振舞うこと。

 

私達がよく知りもしないことを、実際より詳しく理解していると

勘違いしていますのはどうしてでしょう?

 

 

まず思い浮かぶ理由は

 

お相手
知識が多いように見せかけて他者に自分の能力を見せつけたいから!

 

この理由を指摘する心理学者もいらっしゃいます。

 

 

今回は、私達が知識の量を勘違いしやすい脳の仕組みをしている

と言うことを認知科学的な面から見てみようと思います!

 

この記事の内容を動画で解説!

 

 

 

個人と集団の思考を区別できない!

 

認知科学の見解によると

私達は頭の中にある知識と、環境や外部にある知識を区別ほとんど区別していないそうです。

 

それは私達個人の思考と、集団の思考が密接に絡み合っているため

境界を認識するのがとても難しいことも原因の一つです。

 

 

 

 

 

私達は常に自分の所属する「知識のコミニュティー」を利用し参加しています。

 

例えば

 

  • 地球は丸い
  • 兄弟で結婚してはいけない
  • 礼儀やマナー
  • 常識

 

これらは私達の中に知識として存在しているようですが、全て

 

情報源は知識のコミニティー

  • 社会(学校/会社/メディア)
  • 親、教育
  • 村や、町、地域、国などの文化など

 

 

「自分の所属する知識のコミニュティー」から得られた知識です。

 

 

 

 

 

例えば、私達が政治においてどの政党を支持しているかも

 

  • 自分で考えた思考なのか
  • 外部や環境、自分が所属する知識のコミュニティーの思考なのか
  • 親の思考を受け継いでいるのか

 

厳密に区別するのは難しいです。

 

そして面白いことに

「知識のコミュニティーの理解度」が私達の理解度に繋がることもわかっています。

 

 

知識の錯覚自転車 アイキャッチ

 

他人の理解度で自分の理解度も変わる

 

ブラウン大学のスティーブン・スローマンらが興味深い実験を行っています。

 

この実験では被験者に

「新たな発光する岩石」が発見されたという「偽の記事」を読ませます。

 

 

 

 

 

1つめのグループには

  • 「科学者達はこの岩石を完全に解明した」と書かれた記事を

 

 

そして2つめのグループには

  • 「科学者達は岩石の発光メカニズムを出来ていない」と書かれた記事を読ませました。

 

 

その後2つのグループの被験者に

「発光する岩石に対する自分の理解度」を評価してもらいました。

 

 

 

 

その結果「科学者達は発光する岩石を完全に解明した」記事を読んだグループは

自分の理解度を高く申告

 

「科学者がメカニズムを理解していない」記事を読んだグループの方が

自分の理解度を低く申告したのです。

 

 

反対の意見

 

 

どちらのグループにも同じ情報が与えられ

違っていたのは科学者=他者の理解度のみです。

 

 

つまり私達は

集団と個人の知
  • 「知識のコミュニティー」に所属し他者の知識を利用する
  • 個人の思考と、集団の思考が密接に絡み合っているため境界を認識するのが難しい
  • 「知識のコミュニティー」=他者の理解度と自分の理解度を錯覚する

 

このような錯覚に陥りやすいのです。

 

 

知ってるつもり: 無知の科学

 

 

知識のコミュニティーにアクセスできるかが重要

 

さらにスティーブン・スローマンらは

 

「科学者は発光する岩石について理解しているが、それが機密事項であるため、あなたには入手可能ではない

=あなたの所属する知識のコミュニティーに岩石の情報は含まれない」

 

とする記事を読ませる追試験も行っています。

 

 

 

 

 

この結果、驚くことに

この記事を読んだ被験者達は自らの理解度を極めて低く評価しました。

 

 

つまり知識のコミュニティーにおいては

知識を自分で持っているかどうかより

知識にアクセスできるかどうかのほうが重要視されるということです。

 

脳のスキーマと知識の錯覚

 

私達は他者の気持ちを理解したり

お互いに分業を行う能力などを発達させ

より協力しやすく進化してきたと考えられています。

 

 

 

 

その際に必要なのは、他者が持っている情報を

自分自身も同じくらい詳しく理解することではなく

「脳のスキーマ」=情報を枠組みで捉える能力です。

 

 

認知分業 アイキャッチ

 

 

他者の持っている知識をスキーマとして理解することで、自分も知識を活用できます。

 

この能力のおかげで

知識を持っている他者と繋がる=自分が活用できる知識が増える

と言う錯覚が起きやすいのではないかとも指摘されています。

 

 

 

 

私達は脳のスキーマで枠組みとして理解することで

知識をより早く理解し活用し「協力/分業」できます。

 

しかし、枠組みとして捉えた際に知識の詳細が抜け落ちてしまっていることや

情報と繋がれること=理解している知識の量が多いと錯覚してしまいやすいことが示唆されています。

 

まとめ

 

認知科学や脳科学的には錯覚が起きやすい脳の仕組み

認知の歪みの原因などが調べられうことが多いです。

 

これが心理的な側面になると、知識の量を多く見積もることで地位競争のストレスから自分自身を防衛しているとか

 

自分は知識が多いと自分を騙すことで、他者をより騙しやすくなり

生殖競争の中で有利に働くからなど、さまざまな意見が出てきます。

 

知識量の錯覚が生まれる理由はさまざま考えられていますが

あまりに現実とかけ離れた自己認識を持つことは、良いことではないと考えられているようです。

 

 

 

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