人生でより大きな満足や、持続的な幸福には内発的報酬が大きく関与している
と前回の記事でご紹介しました。
内発的報酬とは=個人的な強み、好奇心の追求、社会的つながり
私達をとりまく世界に強く関与する事で生み出される前向きな気持ちのことです。
これらを生み出す活動に没頭する行為や、没入感が何よりも喜びに満ちて、満足感を得て
有意義さを感じる経験につながります。
ですがこれだけではどんな行動をしたらいいのかよく分かりません。
今回は近年のポジティブ心理学の研究でわかった内発的報酬4つのカテゴリーをそれぞれご紹介します。
目次
ポジティブ心理学でわかった人生を幸福にする4つの内発的報酬
私達の幸福感に関わりの深い内発的報酬はさままざまありますが
その中でもどのようなカテゴリーがもっとも必要とされているのでしょうか?
今回はカリフォルニア大学バクレー校で博士号を取得後
2006年「MITテクノロジーレビュー」による「世界を変える35人のイノベーター」や
「ビジネスウィーク」誌「注目すべき10・イノベーター」にも選出された
ジェイン・マクゴニガルさんの分析をもとに4つご紹介します。
幸せな未来は「ゲーム」が創る
①満足のいく仕事
幸福に必要な内発的報酬に関与する一つ目のカテゴリーは「満足のいく仕事」です。
具体的にどのようなものかは人によって異なりますが次のことがポイントになります。
- 明確に定義されていること
- レベルの高い活動
- 自分の努力が直接見える仕事
一つずつ解説します。
世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生
明確に定義されていること
心理学者のソーニャ・リュボミルスキは
「明確な目標ゴールと具体的な行動をが組み合わさったときに目的意識が与えられる」
と述べています。
仕事には目標、具体的な行動、目的意識が明確にある方が満足度が高いと言えます。
自分がどこに向かって、どのように行動したら良いかもわからず
何のために働いているかわからない職は満足度が低いと言えます。
人生を「幸せ」に変える10の科学的な方法
レベルの高い活動
これは常にトップレベルを目指しなさいということではなく
仕事のレベルも徐々に上がっていくのが理想的だということです。
簡単すぎる仕事も、難しすぎて自分の無力感を痛感する仕事も
そればかりでは仕事に対する満足度は下がる傾向があります。
あの人は楽して稼いでいいなーと感じる時もあるでしょうが
幸福と仕事の関連はクリアできるか出来ないかの簡易度が連続するような仕事にあると言えます。
世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド
自分の努力の影響が直接見える仕事
自分が仕事することによる生産性を感じる、これは仕事の満足度において非常に需要な要素です。
自分の仕事が誰の役にたったのか、誰が喜んだのか
どんな影響があったのか、それを感じる(フィードバック)できることが重要です。
さらにポジティブ心理学の提唱者の一人であるマーティン・セリグマンが
「人の資質の開発に寄与する特性としてもっとも重要なのは、仕事における生産性だ」
と述べています。
仕事の生産性の影響は、他者だけでなく
自分自身の成長や資質の開発にも関連しているとわかる仕事は満足度が高いです。
②成功体験と成功への希望
幸福に必要な内発的報酬に関与する2つ目のカテゴリーは「成功体験と成功への希望」です。
私達は成功による影響の大きさを感じたり、自分の得意な事を人に見てもらいたい欲求があります。
さらに成功のチャンスを楽観的に考え、何かに憧れ
時とともに何かがよくなっていく事を求めています。
これを満たすには次のことが要点になります。
- 失敗が成功の期待となること
- 上手く行きすぎないこと
- 自分に影響力がるという自覚
- 柔軟な楽観性
一つずつ解説します
ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ
失敗が成功の期待となること
NBA選手も50%はシュートを外します。
将棋の羽生善治さんもプロになってから600敗以上しています。
皆さんテレビやスマホでゲームを何時間もプレイしたことがあると思いますが
ゲームプレイヤーは、プレイ時間の80%は失敗に費やしているという調査があります。
しかし「次は成功するかも!」「ここをこう工夫すればよかたー」
など失敗する度に次成功する期待が生まれていることがわかると思います。
釣りで獲物を逃した時も「ルアーを変えれば次は釣れるかも!」や
ゴルフでパットを外した時も、失敗が成功への期待になっている時はその活動が幸福と結びつき安くなっています。
逆に失敗したこと自体を長時間怒られたり
失敗を繰り返さないように体罰など受けた場合はもちろん幸福とは縁遠くなります。
上手く行きすぎないこと
- 完全に成功する
- 簡単にできる
- 難易度が低すぎる
これらは好奇心や、挑戦心、興味などの内発的動機を刺激しません。
自分の内側から湧きでる動機に基づく内発的報酬にならなくなってしまします。
つまり飽きるのです。
消費するだけの作業のように感じるようになります。
新しい事を初める時は失敗を恐れがちですが
内発的報酬の観点から考えると、失敗しない事の方が評価は低いです。
自分に影響力があるという自覚
先ほど紹介したセリグマン他、多くの研究で
- 学生
- 社会人
- 管理職
- スポーツ選手
彼らは「私には物事を変える能力がある」とか「私の運命は私自身が導く」
などの信念を持った人の方が成功していると一貫して示されています。
人生を自分で選択している、感覚や、コントロールしている意識は
人間や動物の寿命にまで影響を及ぼしているという研究もあるほど、影響力の自覚は幸福と関連が深いです。
自分の意思で物事を決定出来ないストレス反応は生後4ヶ月の乳児にも確認されており
生物の生まれ持った特性と言えます。
柔軟な楽観性
失敗を成功に結びつくと捉えたり、自分には影響力があるんだと過度に楽観的なのは
過少な場合と同じくらい有害になる恐れがあります。
マーティン・セリグマンが説く「柔軟な楽観性とは」ゴールまでの自らの能力を知り
努力の度合いを柔軟に上げたり下げたり出来る事です。
楽観性の柔軟さが失われると、達成不可能なゴールの追求に固執して、資源を浪費したり
頑張るべきところで努力できなかったりします。
そうなってくると内発的報酬や幸福は遠ざかっていきます。
マインドや楽観性は、強さ弱さより、柔軟やしなやかさを大切にしましょう。
まとめ
幸福に関わる4つの内発的動機、前半を紹介していきました。
読んでいくと、実際の経験に当てはまることも多かったのではないかと思います。
紹介した「満足いく仕事」に就けている人は多くないかもしれません。
その中でも、目標や、行動を今より明確にしたり、誰の役に立っているのか
自分のどんな能力、資質が伸びているのか意識するだけでも今の仕事の満足度は上がるかもしれません。
仕事で無理そうなら、趣味の中に見出すのもいいかもしれません。
まとめ
- 満足いく仕事をするのが大切
- 満足いく仕事は意識や、認識、フィードバックで得られる
- 成功体験や成功への希望が大切
- 成功を予測できる失敗や、簡単すぎないこと、影響力の認識や柔軟性が大切