ポジティブ心理学でわかった人生を幸福にする4つの内発的報酬 後半

内発的報酬4つの要素後半アイキャッチ

前回に引き続き、ポジティブ心理学でわかった人生を幸福にする4つの内発的報酬の後半をご紹介します。

 

今回ご紹介する要素を、今から始める活動や、既にしている行動に当てはめて考えるだけでも内発的報酬を感じることができると思います。

 

それでは早速後半の内容を紹介していきましょう。

 

ポジティブ心理学でわかった人生を幸福にする4つの内発的報酬 後半

 

前半でご紹介した2つのカテゴリーは

  1. 満足のいく仕事
  2. 成功体験や成功への希望

でした。

 

 

それでは後半一つ目のカテゴリーはこちらです。

 

ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ

 

内発的報酬③社会的な繋がり

 

「社会的な繋がり」こう書いてしまうと、人とコミニケーションをとったり、知り合いを増やしたり、コミニティーに参加する事を中心に考えてしまいますが、良くない人間関係を断ち切ることも大切な要素です。

 

人間関係をリセットして自由になる心理学 (詩想社新書)

 

ですが、基本的に人間は社会的な生き物で、どんなに内向的な人も、幸福感の大部分を友人や、恋人、家族や同僚など、他者との関わりから得ています

 

経験を共有したり、つながりを感じたり、何かを達成したりする経験を求めていて、それは内発的報酬に関わる重要な要素となります。

 

 

お金と社会的なつなつながり

 

社会的な繋がりを希薄にする物、その一つがお金です。

 

積み重なるコイン

 

ノーベル賞受賞者で認知科学で有名なダニエルカーネマンの著書でも「お金は自律性を高める、個人主義のプライム(先行刺激)になる」と解説しています。

 

ヒョウが獲物を取られないよう木の上に運ぶように、私達は、お金を持つと、人との繋がりを避けようとし始める事がわかっています。

 

大学の寮生活→アパート→一軒家→豪邸と裕福になればなるほど、高い壁で自分を囲って孤立しようとするようにです。

 

ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る

 

社会的なつながりと幸福度に関する研究

 

アメリカの世論調査期間でギャラップ社は500万人という大規模な人数を対象に「友人が個人に与える幸福度」について調査を行いました。

 

その結果によると、職場に少なくとも3人中の良い友人がいるだけで、人生の満足度が96%も上昇し給料目の満足度は200%も上昇しました。

 

女性にアドバイスを求める

 

さらに職場に最高の友人がいると感じている人は、仕事のモチベーションや、生産性も高まるというデーターも出ています。

 

 

死ぬ瞬間の5つの後悔 

 

社会的な繋がりと健康

 

社会的な繋がりは満足度だけでなく私達の心身の健康にも関わります。

 

アメリカブリガムヤング大学の心理学者ジュリア・ホルトランスタッド教授の、孤独と健康に関する研究では

「孤独を感じている人は睡眠パターンが乱れ、ストレスホルモンが増加し免疫システムに異常が生じる」など、孤独は多くの問題を引き起こす可能性を指摘しています。

 

上手くいかない男性

 

同じ研究の中では、心臓発作の患者の一年以内生存率に関わる要因として、禁煙や、肥満度、アルコール摂取量、などよりも「友人の数と質」が最も強い要因であることがわかっています。

 

さらにホルトランスタッドらの研究チームの試算によると

これまで孤独だった人が心を許せる友人を1人作っただけで、最大で寿命が15年も伸びる可能性があることも指摘しています。

 

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内発的報酬④「意味感」や大きなものの一部になる

 

このカテゴリーは日本人が日常で特に感じる機会の少なくなっている内発的報酬なのかもしれません。

 

人は壮大な規模のものへの好奇心や、怖れ、疑問、畏敬の念、感嘆の瞬間を求めています

 

宇宙や恐竜について莫大な資金とお金をかけて研究する人たちの内発的報酬はここにあるのかもしれません。

 

宇宙は畏敬の念を感じる

 

さらに個人の生活を超える、永久で重大な何かの一員となって貢献する事を求めています。

 

これは「自己とは、とても意味を見出しにくい存在である」という問題にもつながります。

 

色々悩んでいた主人公が、海を見つめて「この海に比べれば俺なんて小さい存在だな」と呟くような感じです。

 

幸せがずっと続く12の行動習慣

 

人生に意味を持たせるには

 

哲学者や心理学者、精神的指導者も合意している、人生に意味を持たせる単純な方法があります。

 

それは「日々の行動を、何か自分自身よりも大きな存在に結び付けて日々を送ること」です。

 

それは大きければ大きいほど良いそうです。

 

極端に褒めるのはやめよう

 

人生の行動を大きな物と結び付けるというと、代表的なのは「宗教」や「信仰」ですが、無宗教の日本では取り組むのに抵抗がある方が多いかもしれません。

 

そこでお勧めなのが「畏敬の念を感じる」という方法です。

 

畏敬の念を感じる

 

皆さんも、広い海を見たとき、壮大な滝を見たとき、宇宙の広さや星の数を知ったとき、野生のクジラを見たとき。

 

自分の小ささや、世界の広さ、大きさを感じ、その存在の前では心が無意識にひれ伏してしまうような感覚や経験があると思います。

 

畏敬の念 心がひれ伏す

 

ただの気持ち良さではなく、霊性や愛、感謝、時間を超越した存在、そして献身の気持ちなどの感情と深く関わっている、それが畏敬の念です。

 

ニューヨーク市立大のロバート・J・リフトンが「自然的超越」と表現したり

神経心理学社のポール・ピアソールが「ポジティブ感情のオーガズム」と呼ぶように

 

多くのポジティブ心理学社によれば「畏敬の念」は、私達が感じる事のできる最も強烈で、満足感のあるポジティブな感情だとされています。

 

畏敬の念と科学研究

 

2015年にカリフォルニア大学の研究チームが200人の学生に日誌を渡し、毎日自分が味わった感情や変化を細かく記録するように指示、被験者の体調と比較しました。

 

その結果「畏敬の念」を体験した回数が多い被験者ほど、心理的な不安や体内の炎症レベルが低いという事実に気づいたのです。

 

畏敬の念は健康にもいい

 

他にも科学の世界では「畏敬の念」の不思議な効果が次々に発見されています。

 

スタンフォード大学の実験では、壮大な山や海などの自然の動画を鑑賞した被験者は人生の満足感が上昇し、主観的な時間感覚が長くなると回答する人が増加したそうです。

 

さらに面白いのは「畏敬の念」は私達を「良い人間」にさせる働きを持つようです。

 

「畏敬の念」でチャリティーなど寄付への積極性の増加、親切な行いの増加、目の前の欲望に強くなる傾向まで確認されています。

 

思いやりの精神

 

畏敬の念を感じやすい、特定の宗教や信仰心のメリットを明らかにした研究も沢山あります。

 

ハーバード大学が7万5千人を10年間追跡した調査では

週に1回礼拝に参加する女性は、全く教会に行かない女性より、その後16年間の死亡率が33%低い傾向が見られました。

 

また信仰心が高いほど自殺率が下がることや、癌患者の予後が向上することもわかっています。

 

礼拝で死亡率低下

 

そんな内発的報酬「畏敬の念」を身近に感じられるスポットをご紹介します。

 

畏敬の念を感じられるスポット

 

自然

 

まずは自然です、自然と触れ合うことは畏敬の念を感じるにはもってこいです。

 

また相対性理論や進化論など自然の仕組み、法則などを知ることでも畏敬の念を感じることができます。

 

自然アイキャッチ

 

先ほどのスタンフォードの実験のように映像でもある程度効果は得られます。

 

リラックス効果の指標になる「副交感神経の活性度」に及ぼす効果度においても、マッサージなどの一般的なリラクゼーションよりも、自然との触れ合いの方が効果が高い事が分かっています。

 


アート/文化的なもの

 

音楽、映画、絵画、演劇、神社仏閣など歴史的建造物、スタジアムや巨大なダム、これらは私達に畏敬の念を感じさせます。

 

ナスカは畏敬の念を感じる

 

これらから畏敬の念を感じる時は「大きさ」と「新奇さ」がポイント、巨大なものや、知らないもの、見たことなく、価値観を揺さぶられるような新鮮さのある物が特に良いです。

 

 

最後は人です。

 

歴史的な人物はもちろんスポーツ選手のスーパープレー、歌手の圧倒的パフォーマンス、政治家、カリスマ性を持った創業者。

 

 

カリスマ性を持った尊敬できる人物の伝記やスピーチ、インタビューなどに触れたり、探してみましょう

 

子どもたちが目を輝かせて聞く偉人の話

 

 

畏敬の念は感じようと思えば、朝目が覚めること、風が吹くこと、鳥がなくこと、なんでも対象となるので、日常をマインドフルに過ごしてみるのも良いかもしれません。

 

 

まとめ

 

前回と今回で人生の幸福度と関わりの深い4つの内発的報酬を紹介しました。

 

なんで登山家はわざわざ苦労して山に登るのか、なぜ世界中に宗教や信仰がるのか、若者があれほどゲームやSNSにハマるのはなぜなのか、色々な疑問に答える要素が詰まっていたと思います。

 

言われてみれば納得のカテゴリーばかりだったのではないでしょうか?

 

皆さんも、仕事や、趣味、教育や成長、日々の行動の中で紹介した4つのカテゴリーを意識してみてはいかがでしょう?

 

まとめ

  • 社会的な繋がりは幸福感だけでなく健康や寿命も増進する
  • 人生の意味感と畏敬の念を感じることが内発的報酬になる
  • 畏敬の念は科学的実験で発見の多い分野
  • 畏敬の念を感じるには、自然、文化、人がお勧め

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