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攻撃的な自己表現=言いすぎる人が陥る危険と心理を解説
子供の頃見た両親の夫婦喧嘩、ドラマや映画で言い争いになり言葉をぶつけ合うカップル。
私達の日常にはまるで「攻撃的な自己表現が普通のコミニケーション方法」であるかのような情報が溢れています。
しかし、攻撃的な自己表現には多くのリスクがあるのです。
アメリカの心理学者ウォルピィは「人間関係における自己表現は3つのタイプに分けられる」としています。
3種類の自己表現
- 言いすぎる人=攻撃的な自己表現
- 言わなさ過ぎる人=非主張的な自己表現
自己表現は「黙るか・強く言うか」の2択であるかのようなイメージが強く根付いているのです。
「相手も自分も大切にする」3つ目のコミニケーション法=
「アサーション」などを習得する前に、自分の自己表現の傾向を知るのがおすすめです。
その中でも今回は「攻撃的的な自己表現」について解説していきます。
夫婦・カップルのためのアサーション
攻撃的な自己表現
相手の気持ちや、考え、欲求を考慮しないで自己主張するのが攻撃的な自己表現です。
表現の特徴としては
- 言い放しにする
- 押し付ける・命令
- 言い負かす
- 暴力、大声を出す
- バカにする
- けなす、陰で悪口を言う
- 自分の都合のいいように利用・操作する
- I am OK. You are not OK (私は良いけどあなたは駄目)
などがあります。
セクハラやパワハラは攻撃的な自己表現の典型で
相手の同意や善意に依存(つけこみ)、自分の発言を通すことばかりに気を取られ
相手の反応は無視・軽視する特徴があります。
攻撃的な自己表現の人は、相手のストレスに気づきにくく、自分がイライラしがち
そのため相手からの怒りや憎しみを買い、信頼感や愛情を失っていきます。
それに加え、攻撃的な自己表現の人は、禁煙や飲酒による身体疾患の傾向も高いようです。
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攻撃的な自己表現を使ったコミニケーション
攻撃的な自己表現をする人のコミニケーション例を見てみましょう。
少し極端な例ですが、これが攻撃的な自己表現をする人のコミニケーション例です。
この他にも広い意味で攻撃的自己表現に該当するのは
攻撃的な自己表現に含まれる
- 話に耳を傾けないで無視する
- 説教する
- 大きな音を立てる
などがあります。
攻撃的な自己表現をする人は、相手に感情を攻撃的にぶつけてしまいがちで
結果以下の言葉をよく使う傾向がるようです。
感情をぶつけてしまう表現
- あなたっていつも〇〇
- この前も〇〇
- どうして〇〇
- 少しは〇〇したらどうなの?
- どうせ〇〇
攻撃的な自己表現をする人の中には、自分の表現方法に意識があり
攻撃的な自己表現に自覚的な人
- いつも口調がきつくなってしまう
- もっと相手の話を聞かなくてはいけないのに
- もっと相手を尊重して自己表現しないと
と考えている人もいますが、中には
- 私はきちんと言いたいことをいっている。だから、言いたいことを言わない相手が悪い
- 私は理屈が通ったことを言っているから、反論できないなら相手が間違っている
と相手の責任にしてしまい、自分が適切に自己表現できていると勘違いしている人もいます。
攻撃的な自己表現をする人には以下のような心理や背景、状況があるようです。
- 優位に立ちたい気持ちが強い
- 甘え(親と赤ん坊のような、与える→受けるの一方的な思考)
- 自信過剰と根底にある不安(優位に立っていないといけない)
- 真面目で責任感が強すぎる(〇〇しなければならない)
- 自分の弱さを受容できない(お前のほうが弱い、バカ)
- 忙しい・疲れている(脳の闘争-避走本能が強まる)
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攻撃的自己表現の人が陥りやすい状況
攻撃的な自己表現をする人の中には
- 主導権を握りたい
- 自分を優先してくれて当たりまえ
- 自分は常に正しい
- 自分は常に正しくないと不安
- こうあるべき・こうするべき
と感じている人が多いため
自分が正しいかのように言い張り、相手を黙らせようとしたり、同意させようとしたりします。
その際、相手の意見を
相手の意見を尊重できない
- 雑音
- 異物
- 驚異
と捉えて無視・排斥(はいせき)しようとするため
「横暴で自分勝手な甘えを撒き散らしている人」とみなされ、だんだん周囲から人が離れていき
最終的に利害関係で付き合っている人だけが周りに残ります。
自己主張の押し付け合いや喧嘩が多くなり「勝ち負け」の人間関係になってしまい
安定した関係を築きにくくなってしまいます。
パートナーに限らず、上下関係、親子関係でも相手をコントロールしたい気持ちが強まり
問題や葛藤を自分の思う通りに押さえつけようとしてしまうケースが多いです。
たとえ問題を押さえつけたとしてもパートナーがそうした関係に留まることに耐えられなくなり別れを告げられることもあります。
別れないまでも、パートナーからの信頼感や愛情は薄れていきます。
攻撃的な自己表現をする人は、自分の優位性やコントロール能力を気分良く錯覚しがちですが
結果として孤立する可能性が高いです。
さらに学生時代にイジメ(=攻撃的な自己表現)を行っていた人は
大人になってから自己否定感が高まり、精神的に問題を抱えるケースなども報告されています。
また、普段は相手を尊重して自己表現している人も
文化や認識の違いに驚いて一時的に攻撃的な自己表現をしてしまったり
(例=なんでそんなやり方するの?考えたらわかるじゃん!少しはちゃんとしてよ!など)
疲れや忙しさから一時的に攻撃的な自己表現になってしまう場合もあります。
攻撃的な自己表現は男性に多いようですが、最近では女性にも増えてきているようです。
5人に1人いると言われている「生まれつき特に敏感な人=HSP」
カップルの場合36%の確率でどちらかがHSPです。
自分、相手の敏感さの違いを理解するため、多くの人にとってカップル関係の必読本です!
ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛―
完全にどちらかに別れているわけではない
1人の人物の自己表現方法が完全に、言い過ぎる=攻撃的
もしくは言わなさ過ぎる=非主張的のどちらかに分かれているわけではありません。
例えば
現れ方は様々
- 部下には攻撃的だが、上司の前では非主張的になる人
- 普段は攻撃的でも相手が本気で怒っているときは非主張的になる人
- 疲れが溜まって一時的に攻撃的な自己表現をしてしまっている人
- 社会生活では非主張だが、家族には攻撃的な人
など、1人の人物でも、状況や状態、相手との親密度や疲労感によってどちらかの傾向が強く出る場合が多いです。
なので、自分は攻撃的的な自己表現が強いタイプと感じている方も
前回紹介した「非主張的な自己表現」の記事もぜひ読んでみてください!
攻撃的な自己表現をしてしまったときは、まず自分が行った自己表現を認識し
自分を責めずセルフコンパッションを向けることが大切です。
それから、相手と話し合う、謝るなどの行動に移ったり、第3のコミニケーション方法
などを学んでみるのもおすすめです。
中でもNVCは攻撃的な自己表現をしてしまう方に特におすすめです!
これらのコミニケーションもご紹介していこうと思うので、自分に合ったもの、もしくは各コミニケーション法の使えそうなところを使ってみるのがおすすめです。
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版 (日本経済新聞出版)
まとめ
今回は攻撃的な自己表現の危険性と心理について解説しました。
危険性としてはパワハラやセクハラに該当する、自己否定感が増す、孤立するなどを紹介しました。
個人レベルのコミニケーション問題にとどまらず
2020年6月からパワハラ防止法が施行され、パワハラの防止を企業に義務付けることが法律で決まり
社会的にもどんどん攻撃的な自己表現に厳しい時代になっています。
攻撃的な自己表現を行っているときは、時に気分良く自分の正しさを主張してしまうものですが
時が経ち、自分の自己表現でどれほど相手を傷つけていたか知る機会があると
強い自責の念に駆られることがあります。
攻撃的な自己表現をやめ、第三の自己表現を学ぶことは、コミニケーションを取る相手のためであると同時に自分自身のためでもあります。
まとめ
- 自分は良くて、相手は駄目と捉える攻撃的な自己表現
- 愛情や信頼を失い孤立したり、自己否定感が高まる危険性もある
- 1人の人物がどちらの表現をする場合もある
- 第3の自己表現、コミニケーション方法がある