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非主張的な自己表現=言わなさ過ぎる人が陥る危険と心理を解説
コミニケーション法について理解する前に、自分が行っているコミニケーションスタイルを把握することがとても大切です。
中でも自己表現のしかたはコミニケーションにおいてとても重要です。
アメリカの心理学者ウォルピィは「人間関係における自己表現は3つのタイプに分けられる」としています。
3種類の自己表現
- 言いすぎる人=攻撃的な自己表現
- 言わなさ過ぎる人=非主張的な自己表現
一般的に、このどちらかの傾向が強いことが多いようで、3つ目のコミニケーション法がアサーションだとしています。
その中でも今回は「非主張的な自己表現」について解説していきます。
まずは自分の自己表現の傾向を知り、デメリットや陥りやすい状況を知ることで、第三の自己表現を習得する助けにもなります。
自分が非主張上的な自己表現を行う傾向が強いと感じている方も
「攻撃的な自己表現の特徴」の記事をぜひ読んでみることをおすすめします。
夫婦・カップルのためのアサーション
非主張的な自己表現
自分の気持ちや、考え、欲求や願望を率直に表現しないのが非主張的な自己表現です。
非主張的な自己表現の傾向が強い人の特徴は
- 曖昧な言い方
- 遠回しな言い方
- 遠慮がちな言い方
- 声が小さい
- 言わない・言い損なう
などがあります。
非主張的な自己表現の人は、ストレスや怒りを溜めやすい傾向があるようで、それにともない抑うつ感や無気力感などを感じる場合もあるようです。
非主張的な自己表現は誤解を生むことも多いです。
鈍感な世界に生きる 敏感な人たち
非主張的な自己表現で誤解が生まれる会話例
では非主張的な人がやってしまいがちな会話例を見てみましょう。
〜店に入って注文した後〜
「(この人は私の気持ちを理解してくれない、私との時間が大切ならもっとマシな店を選ぶのが普通、もっと私のことを分かってくれる人が他にいるはず)別に、普通だよ」
5人に1人いると言われている「生まれつき特に敏感な人=HSP」
カップルの場合36%の確率でどちらかがHSPです。
自分、相手の敏感さの違いを理解するため、多くの人にとってカップル関係の必読本です!
ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛―
非主張的な人のジレンマ
先程の会話例のように非主張的な自己表現をする人は日常的に
「伝えられない・理解されない」などのジレンマが多く発生します。
この他にも
- 疲れているけど断れない
- 支援してほしいけど頼めない
- 電話をそろそろ切りたいのに相手に合わせて話し続けてしまう
- 意見が違うけど合わせてしまう
- 辞めてほしいと伝えられない
- I am not OK. You are OK (あなたは良いけど私は駄目)
などがあり、不満やストレスが二人で時を過ごすほどに蓄積されていく傾向があります。
非主張的自己表現をする人の中には、自分の表現方法に意識があり
- 自分を抑えて合わせすぎてしまっている
- もっと率直な自己表現が出来るようになりたい
と考えている人もいますが、先程のたてがみ君のように
自己表現の問題を相手のせいにする
- 私がこれだけ気を使っているのに、本音に気付かない相手が悪い!
と全て相手の責任にしてしまい、自分が非主張的であることに気づかない人も多いようです。
非主張的な自己表現をする人の背景には
- 葛藤や争いを避けたい
- 嫌われたくない気持ちが強すぎる
- 察してほしい気持ちが強すぎる
- 自己犠牲が強すぎる
- パートナーとのパワー差を感じている
- 自己評価の低さ
- 言っても分かってもらえないと思っている
など、主に対人不安(=相手にどう思われるか不安に感じる)や自己評価に関わる心理
生まれ持っての敏感さなどが根底にある場合が多いようです。
非主張的自己表現の人が陥りやすい状況
非主張的な自己表現は、一時的に争いや葛藤を避けることは出来るのですが
長期的な関係を考えるとマイナスが多くなってしまいます。
自分を抑えているストレスや、勘違いから生まれる「自分が理解さていない」感覚
パートナーと乗り越えなくてはいけない危機と向き合う機会を先送りしてしまうからです。
さらに、パートナーは「遠回しで曖昧な返事」などを「同意した」と誤解したり
非主張的な自己表現をする人に不満が溜まっていても「二人の関係はうまく行っている」と勘違いしてしまう事が多く
最終的に非主張的な自己表現をする側から
不満をためた結果
- 突然の大爆発=ブチギレ
- 突然別れを切り出す
などの行動を起こす可能性が高まってしまいます。
そこまで極端にならずとも
非主張的な自己表現の人は、配慮したことは伝わらず、感謝されることもないので、理解されない悲しさ、惨めさを感じてしまうこともあります。
仕事の場面でも、速く帰らないといけないのに残業を頼まれたり
嫌がっているのが伝わらずセクハラやパワハラを受けてしまう場面も増えるようです。
また、相手を優先し、自分を後回しにするため、結果として相手の言いなりになってしまうことや
自分を大切にできずメンタル的に追い込まれるケースもあります。
非主張的な自己表現は女性に多いようですが、最近では男性にも増えているようです。
攻撃的な自己表現・非主張的自己表現の人との相性
お互いが同じ非主張的な自己表現同士の場合
話が進まず、お互いがわかりあえず、いらだちを感じながら、突破口の無いコミニケーションが続いてしまう場合があります。
非主張的な自己表現の人と、攻撃的な自己表現の人の組み合わせは
職場ではパワハラやセクハラを誘発するきっかけにもなってしまいますが
恋愛初期には上手く噛み合ってしまうこともあります。
ですが非主張的な自己表現を続けた状態で付き合いが長くなると
相手を立てて自分が遠慮することで
相手を不快にさせまいと配慮するような状態になり
自分をないがしろにして相手の意見に言いなりになってしまうこともあります。
その結果
非主張的な自己表現の苦悩
- 自分でも言いたいことがわからなくなる
- 自分で決められない
- 言い方がわからない
などの問題が生まれてくることもあります。
非主張的な自己表現になる理由
非主張的な自己表現をする人には、生まれつき内向的だったり内気だったりする人もいますが
幼いときから
育った環境
- 命令に従うこと
- 譲ること
- 他者の言う通りにすること
などを当然として育てられると
判断することに慣れておらず、自信がなく引っ込み思案になってしまう人もいます。
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完全にどちらかに別れているわけではない
1人の人物の自己表現方法が完全に攻撃的、もしくは非主張的に分かれているわけではありません。
例えば、初対面では非主張的な自己表現をするが、仲良くなるにつれて攻撃的になっていく人
異性にたいしては非主張だが、同性に対しては攻撃的。
非主張の人がブチギレて一気に攻撃的になる
など、1人の人物でも、状況や状態、相手との親密度や疲労感によってどちらかの傾向が強く出る場合もよくあります。
今回ご紹介した2つの自己表現をしてしまったときは、まず自分が行った自己表現を認識し
自分を責めずセルフコンパッションを向けることが大切です。
それから、相手と話し合う、謝るなどの行動に移ったり、第3のコミニケーション方法
などを学んでみるのもおすすめです。
これらのコミニケーションもご紹介していこうと思うので、自分に合ったもの、もしくは各コミニケーション法の使えそうなところを使ってみるのがおすすめです。
それと同時に非主張的な自己表現になってしまう根底にある、対人不安や自己評価を改善する取り組みをするのもおすすめです。
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まとめ
私も大切な人や、身の回りの人に「非主張・攻撃的」どちらの自己表現も行ってきました。
そしてこれからも行ってしまう場面があると思います。
きっと誰もが過去に行ったことがあり、そしてこれからも行ってしまう自己表現だと思います。
ですが「これが変わらない自分のスタイルで、それに合わせてくれる相手を探すんだ」と思い込むのと
第3のコミニケーションがあり、失敗しながらでも、少しずつでもそれを身に付けていきたいと思っているのでは大きな違いがあると思っています。
まとめ
- 自分が駄目で、相手は良いと捉える非主張的な自己表現
- ストレスを溜め込みやすく、誤解を招いたり、不利な立場に追い込まれやすい
- 1人の人物が「攻撃・非主張」どちらの表現をする場合もある
- 第3の自己表現、コミニケーション方法がある