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アサーション=自分も相手も認め合う自己表現のポイントを解説!
アサーションは、自分も相手も認め合う「自他尊重」を目指すコミニケーションです。
今回はアッサーションを理解するポイント
アサーションを実践する上での大きな流れを解説していこうと思います。
アサーション入門――自分も相手も大切にする自己表現法 578円(講談社現代新書)
アサーションとは、3つのコミニケーション方法
アメリカの心理学者ウォルピィは「人間関係における自己表現は3つのタイプに分けられる」としています。
3種類の自己表現
- 言いすぎる人=攻撃的な自己表現
- 言わなさ過ぎる人=非主張的な自己表現
- アサーション=アサーティブ(相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見を率直に主張できる状態)な自己表現
攻撃的な自己表現と非主張的な自己表現につては
過去の記事でまとめているので参考にしてみてください。
「相手も自分も大切にする」3つ目のコミニケーション法=「アサーション」の特徴は
- 気持ち・考え・欲求を率直に正直に表現する
- 私(アイ=I)を主語にしたIメッセージ
- 相手の気持ち・話しを「聴く」ことも大切にする
- 自分の弱さを認め表現する
- 自己選択で決める意識を持つ
- 自他の歩み寄り・調和・協力を大切にする
- 柔軟な対応と自己責任の意識を持つ
- I am OK. You are OK
などがあります。
アサーティブな自己表現を行う人は次のようなことを意識しているようです。
アサーティブな自己表現
- 自分と相手で考え・気持ちが異なるのは当然
- 適度な自信と謙虚さ
- 自分自身が相手との関係の変化の鍵を握っている
- 相手を理解し、自分も理解してもらおうとする
- 違いをわかり合うと視野が広がり、つき合いが楽しくなる
アサーティブな自己表現を行うことで
自分と相手の「その人らしさ」を大切にし
話し合って歩み寄ろうとしたり
肯定的なメッセージを伝えやすくする場面が増えるとようです。
アサーションは表現する・伝えるだけでなく
- 聴く・理解する・受け止める
ことも大切だと考えています。
そのため
「私はこう考えているけど、君はどう思ってる?」
「私はこう感じたけど、あなたの気持ちを聴かせて」
など、相手の自己表現を引き出して理解しようとするところが特徴的です。
まずは3つの自己表現の特徴や違いを理解するのがおすすめです。
誰もがやって良いことを知る、権利、アサーション権を理解する
コミニケーションや自己表現において
攻撃的な自己表現を行って、とにかく自分のことを優先し、相手の権利を侵したり
非主張的な自己表現で自分の人権を無視してしまう時があります。
アサーションでは
「誰でもやって良いこと」=権利・アサーション権を具体的に知ることで
相手の権利と、自分の権利を守りながら柔軟に関わっていくことを目標としています。
アサーションを行う上で意識した方が良い「アサーション権」は100以上あるらしいので
ここでは、代表的で特に重要なものに絞ってご紹介します。
- 私たちは誰もが自分らしくあって良い
- 人は誰でも自分の気持や考え方を表現して良い
- 相手との関係で自分らしさを大切にして良い
- 真面目に聞いて受け止めてほしいと相手に求めてよい
- 私達は相手に対して不完全であってよい
- 相手にしてほしいこと。してほしくないことを伝えて良い
- 相手からの依頼や欲求を断っても良い
- 相手との関係で傷つくことがあってよい
- 自己主張しない・言わないことも選択できる
アサーション権で理解しないといけないことは
「自分も相手も、お互い同じ権利を持っていること」です。
なので「納得して譲ること・きっぱりとノーと言う」
ことがアサーティブなこともあります。
アサーションが単なる
- 交渉術
- 相手に自分の言うことを聞いてもらう術
- 問題の解決法
ではなく、関係のあり方と理解するのがオススメなようです。
アサーションをしない権利もある
アサーションを勧めておいて矛盾があるようですが
アサーション権には「アサーションをしない権利」も含まれています。
それはアサーションが万能でないこと
相手を変える方法ではなく、自分を変える方法だからと言えます。
自分が「しない」と決めた場面では
アサーティブになることをやめる選択をすることもできるのです。
権利についての考え方
権利とは皆が持っているものなので
「権利を認めること」が
=「自分勝手な行動を推奨する・助長する」ものだと捉えてしまうのはよくないようです。
世の中には
- モンスターペアレント
- クレーマー
- モンスターペイシェント(患者)
など自分の権利を強く主張して相手を追い詰めようとする人もいらっしゃるそうです。
権利は=「〜してよい」ということなので、アサーション権も
- 自己表現しなければならない
- 自己表現をしなさい
と捉えてしまわないように注意が必要なようです。
夫婦・カップルのためのアサーション
自己信頼と練習
相手の態度に怖気づいたり、自分の感情に振り回されずアサーションを行うためには
「自己信頼」=自分を頼れること・自分を当てにできる・自分を拠り所にできる
感覚を持つのが望ましいです。
アサーション権を理解することと合わせて
自己信頼は「自己理解&自己受容&自尊心」
の3つが関連し合って成り立っていると考えられています。
自己理解
自己理解には2つの要素があります
①自分がその時に感じている気持ちや考えに気づき意識的になること=マインドフル
アサーションを行うには感情的になってしまう場面でも
自分自身に対して意識的=マインドフルになることが大切です。
マインドフルになる
- 自分が何を感じているのか
- 何を相手に伝えたいのか
- 何を求めているのか
感情の裏に隠れている気持ちなどに気付き
意識化して相手にアサーティブに伝える必要があります。
「なんだか相手にイライラするけど原因がわからない」より
「今は疲れてるから静かにしてほしい」
「できればもう少し育児をサポートしてほしい」
など、自分の現在の状態や求めに気付いて表現することが必要です。
「気付き・意識化」はこのブログでもご紹介しているマインドフルネスで鍛えることが出来ます。
説明がわかりやすく、とても使いやすいのでマインドフルネスを始める最初の本におすすめです!
マインドフルネスであなたらしく -「マインドフルネスで不安と向き合う」ワークブック-
②自分自身をよく理解していること
自己理解に必要な2つ目の要素は「自己認識」です。
自己認識が重要
- 長所や短所
- できること出来ないこと
- 成功したこと失敗したこと
- 他者からどんな人物だと思われているか理解すること
- 何にやりがいや情熱を感じているか知ること
- 何に人生の価値観や意味を感じているか理解していること
良いところばかりに注目してしまうのも
否定的に捉えすぎるのもよくありません。
また自己理解の仕方はパートナーの理解の仕方にも関わってきます。
自己認識にはターシャユーリックの「Insight」が特におすすめです。
自己認識にはこの本一冊で十分⭕ これまで自己認識で一般的だった「自分を知ること」に加え
見落とされがちだった「人からどう見られているか」を知ることの大切さを鋭く指摘!
insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力
自己受容
自己受容は自分自身をありのままに受け入れることです。
卑屈になったり尊大になりすぎたりせず、自分の不完全さも許す、受け入れる場面も必要です。
自己受容はアクセプタンスやACTの記事でご紹介しています。
ACTやアクセプタンスについてはラスハリスの「自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる」
が特におすすめです。
自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる ――マインドフルネスと心理療法ACTで人生が変わる (単行本)
自尊心
自尊心=自分が大切な存在である気持ちといえます。
近年、自尊心は低すぎるのはよくありませんが
自尊心のタイプによっては高すぎてもよくないことが指摘されています。
自尊心にはタイプが有る
- 安定型の自尊心=「自分の欠点もふくめて受け入れる」という意識がある
- 脆弱型の自尊心=「自分の欠点に抵抗し、普段は自信満々でもトラブルに弱い」
など、自尊心にも種類があることが示唆されています。
自尊心は
と、成長マインドセットやレジリエンス、自己受容とセットで意識するのがおすすめです。
非言語レベルのアサーションと練習
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンは1971年に
「7-38-55ルール」と呼ばれる法則を発表しています。
メラビアンによると人がコミュニケーションから得る情報は
非言語コミニケーション
- 言語情報=話す内容から7%
- 聴覚情報=声のトーンや口調・大きさ・話す速さなどから38%
- 聴覚情報=ジェスチャーや視線、表情などから55%
の情報を受け取っているというのです。
コミュニケーションと言うとつい
「どのように話すか」ばかり考えてしまいがちですが
本当に大切なのは
- 話の聴き方
- 話す時のトーンや口調、速さ
- 身振り手振りや視線
です。
言葉では相手を攻撃していなくても仕草が高圧的だったり
アサーションは言語・非言語、両方を意識して行うのがポイントです。
練習が必要
自転車の乗り方を頭で理解しても直ぐに乗れないのと同じで
アサーションを頭で理解しても実践するには練習が必要です。
特にアサーションでは自分の「怒り」や「攻撃性」の裏にある欲求や
満たされないニーズを理解して、感情と向き合い
アサーティブに表現する必要があります。
アサーションは自分や相手の感情・心理への理解がベースになければ
テクニックとしてだけで成立するものではないのです。
自分がアサーションを実践しても相手が必ず要望に答えてくれたり
態度を軟化させる保証はありません。
アサーションの実践
どのようにアサーションを行えばよいかピント来ない方には
北米でアサーションの訓練や指導を行うバウアー夫妻が開発した
「DESC法」を試してみるのがおすすめです。
「DESC法」は1つの形式に沿ってアサーションを使った自己表現を行う形式
マニュアルのようなものです。
自分が表現したいことを、どのように相手に伝えればいいか迷った時は
一度「DESC法」に当てはめてみるのがおすすめです。
アサーションとその他の自己表現の違いなどもこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
今回はアサーションを行う上での前提や
心構え的な面を解説しました。
実際にアサーションを使ったコミニケーションがどんな言い方になるのかは
「DESC法」の記事を参考にされてみてください。
世の中に万能のコミニケーション方法はありませんが。
冷静な状態で、自分と相手を尊重し、意思を伝え合ったり、妥協点や解決策を見つけるのに
アサーションはとても適していると感じました。