目次
良い喧嘩の仕方〜長続きするカップルの特徴「修正」と離婚する夫婦80%に見られる「放棄」を解説〜
前回は心理学者で良好な恋愛関係研究の第一人者ジョン・ゴットマン(john gottman)
の研究をもとに、別れるカップルが行いがちな喧嘩「ヨハネ黙示録の四騎士」と
その状況に陥りやすい「刺激過多」について解説しました。
今回は刺激過多を克服し、喧嘩中でも意識して行ったほうが良い行動と
離婚する夫婦80%に見られる「放棄」について解説します。
喧嘩中に意識したほうが良い行動
一昔前までは上手く行かない交際を観察する人間関係のセラピストが書いた本が主流だったようですが
ジョン・ゴットマン(john gottman)はカップルの
成功例と失敗例、両方を考察する方法で数々の研究を行っています。
ゴットマンが指摘する成功例=「幸福で長続きするカップルの特徴」は
二人が話し合いの時に以下の四点
- 優しい眼差し
- 愛情表現
- 謝罪
- 笑顔
など、たとえ喧嘩中であっても修正=リペアアテンプトを通して
ポジティブな感情を示す関係だそうです。
喧嘩は、それほど別れのきっかけにならない
ハーバード大学のベンジャミン・リー教授は2010年
長続きする恋愛に関連した代表的な論文137編、実験総参加者3万人以上を対象にした
メタ分析(過去の実験を集めて分析すること)を行いました。
その結果でも分かっていますが
カップルはよく喧嘩をするからといって、別れる確率が特に高くなるわけではないようです。
夫婦を観察した研究でも
「幸せな夫婦」も「そうではない夫婦」も
意見が合わない回数とその程度は同じくらいだと言われています。
ベンジャミン・リー教授やジョン・ゴットマンによると
喧嘩することよりも
「喧嘩した時にどう振る舞うか」がカップル関係が続くかどうかの分岐点になるようです。
つまり喧嘩の頻度よりも、喧嘩の仕方や解決の仕方が重要になってきます。
それではカップルが喧嘩をする時気をつけるポイントの中でも
悪い喧嘩をしてしまった時の「修正=リペアアテンプト」と
喧嘩を避けようとする「放棄」について解説します。
喧嘩中でも「修正」を意識することで関係が続くカップルになる
人はだれでも感情的になってパートナーを攻撃してしまったり
「悪い喧嘩の仕方」をしてしまうことがあります。
ですが「悪い喧嘩の仕方」を行ってしまった後の行動が「関係が続くカップル」と
「分かれてしまうカップル」の大きな違いを生むことが分かっています。
修正=リペアアテンプトを実践する
前回解説した「悪い喧嘩の見本」=「ラベリング」を行ってしまったとします。
自分が「悪い喧嘩の仕方」をしたことに気付いたら
「ごめん、今のは言うべきじゃなかった」
「君を追い詰めるように言ってしまってごめんね」
と「悪い喧嘩の仕方の1つ=防衛」を行わず、素直に謝ることが大切です。
また休憩を挟んだり、お互いが落ち着いて話せる環境へ移動する
触れ合いながら優しい口調で話し合うようにする
などのように喧嘩中でも良くないコミニケーションの「修正」を行ったり
「修正」を行う術を示す夫婦の83%は関係が続くと言われています。
「修正」を行うには、まず刺激過多を避ける行動をとったり
感情的になっていることに気づいたら
アサーションを意識してコミニケーションを行うのがポイントです。
「パートナーが悪い喧嘩の仕方」に気付いて、過ちを認めた時は「修正」したことを褒め
そこから二人で学ぶことが推奨されています。
離婚した夫婦の80%が行う「放棄」の危険性
離婚した夫婦の80%は「ただ、だんだん離れていった」とする調査結果があります。
なんと、喧嘩して意見をぶつけ合った夫婦は40%しかいないのです。
学生でよくあると思われがちな「自然消滅」が大人同士の関係でも起こりやすいのです。
なので喧嘩することより
争いを避けて「放棄」することのほうが離婚につながると考えられています。
誰もが喧嘩を嫌い、避けようとするものです。
特に刺激に敏感なHSP=敏感さんは喧嘩を避けたり
喧嘩中にそっぽを向いてしまうことが多くなってしまうので
特に「放棄」には注意が必要です。
5人に1人いると言われている「生まれつき特に敏感な人=HSP」
カップルの場合36%の確率でどちらかがHSPです。
自分、相手の敏感さの違いを理解するため、多くの人にとってカップル関係の必読本です!
日常で見られる「放棄」の兆候
N・アーロンが解説する日常生活で見られる「2つの典型的な放棄の兆候」は。
放棄の兆候
- 二人の問題が解決できないほど深刻だと感じ、激しくぶつかるよりは、一人でなんとかしようと抱え込んでしまう。
- 「仕方ないからもういいや」と慣れようとする。しかし、そこには愛も受容もない状態
です。
「放棄」は日常の小さなことからも始まることがあります。
日常から始まる小さな放棄
- 休みを一緒に過ごさなくなる
- 仕事の話をしない
- セックスをしなくなる、など
多くの場合
と思うのですが
「これくらい」のことさえ話し合おうとしない時点で二人の関係は危うい
というのがアーロンの考えです。
放棄を防ぐ方法
アーロンがアドバイスする「放棄」を防ぐ最善策は、二人が問題を放棄してしまう前に
放棄の対応策!
- 放棄のサインに気付いて防ぐこと
- 二人が放棄を問題と認識すること
の2点です。
また「放棄している側」が何がきっかけで黙ってしまったのかを話すことも重要です。
「一度話したのに聞いてもらえなかったと感じた」
「意見を言うと感情的に反応される事が怖くて言いにくい」
「言っても改善されないように感じて言うことが無駄だと感じてしまう」など
「放棄」のきっかけは「特定の会話」で有ることが多いようです。
その会話で「放棄している側」が感情的に高ぶったり刺激過多になったケースや
「なんでそう受け取るの?」のように否定的な言い方をされ
会話することが「危険」で「苦痛」で「どうしようもない」ものに思える事が多いようです。
その「きっかけになる話し合い」がどれだけ間違っていたとしても
再び会話に立ち戻る必要があります。
「放棄」状態から会話を再開するポイント
「放棄」から対話を再開させる時は
前回の記事でご紹介した「刺激過多の喧嘩・高ぶりから身を守る方法」を意識して
休憩を取りながら、責めたり言い訳(防御)したりせず対話しましょう。
「放棄」の状態を変えるためには「放棄している側」がオープンに話して
放棄している側が鍵
- 自分をちゃんと主張する
- 自分の気持ちに寄り添う
- 求め、思い、考えを表現していく
必要があります。
この時「話しても仕方ない」とい気持ちが湧いてくるでしょうが
自分の中にしまい込んでは「放棄」に後戻りです。
「話しを聴く側」はパートナーのオープンな状態を受け入れることが大切です。
話し合いの工夫
- 中立な第三者に間に入ってもらう
- お互いの意見を遮らず交互に話す
など工夫やルールを決めておくのもおすすめです。
「放棄」からの会話再開が難しく感じる時は
以前解説したアサーションのDesk法を使い、形式に沿って
伝えたいメッセージを作ってみるのもおすすめの方法です。
まとめ
私達は小さい頃から「喧嘩をするのは悪いこと、喧嘩をしないのが良いこと」
と、良し悪しを教えられ、意見がぶつかった時のコミニケーション方法や
気持ちや考えを適切な自己表現で伝える方法を教わっていない場合が多いと思います。
今回の内容を喧嘩の最中に実践するのは難しい場面が多いと思いますが
- 感情的になってしまった後も「修正」が大切なこと
- 対話を再開したほうが良いこと
- アサーションなど自己表現の指標があること
は参考にできるのではないかと思いました。