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HSP(=敏感さん)自己診断テストが持つ問題点!質問に答えるだけでHSPか分かるの?
HSP(=敏感さん)という言葉を最近良く耳にしませんか?
芸能人の方にも

と公言されている方もいらっしゃいます。

私自身も、どちらかと言うと敏感な気質が有ると自覚しています。
ですがおそらく、私を含めた多くの方が専門機関での調査や専門医による診断ではなく
セルフテストよる「自称HSP」なのではないのでしょうか!?
今回はHSPセルフテストがもつ弱点や問題点について考察していこうと思います。
5人に1人いると言われている「生まれつき特に敏感な人=HSP」
カップルの場合36%の確率でどちらかがHSPです。
自分、相手の敏感さの違いを理解するため、多くの人にとってカップル関係の必読本です!
セルフテストの精度には限界がある
まず、セルフテストという形式自体にいくつか欠点があります。
セルフチェックの課題
- 質問が曖昧になってしまうこと
- 自己申告であること
- 教育や社会的なイメージも回答に影響すること
1つずつ見ていきましょう!
質問が曖昧になってしまう
HSPのセルフテストで有名なのは1996年に「HSP」という概念を提唱した
エレイン・アーロンが開発した23問のセルフテストだと思います。
アーロンはこのテストに12問以上「はい」と回答するとHSPである可能性が高いとしています。
その質問の中には
「自分を取り巻く環境の微妙な変化によく気づくほうだ」
「豊かで複雑な内面世界を持つ」
などがあります。

これらの質問は回答者によっては「曖昧な質問」に感じ、困惑する場合もあるようです。
受け取り方や解釈の仕方によってもばらつきが生まれる可能性があります。
敏感すぎる私の活かし方 高感度から才能を引き出す発想術 (フェニックスシリーズ)
自己申告であること
セルフチェック=自己申告であること自体にも問題点があります。
人間は皆「敏感さ」を持っています。
それが5人に1人の割合で現れるHSPのように
他者より「とても敏感なのか」が問題です。

それを確かめる際
「とても誠実である」
「美術や音楽に深く心を動かされる」
「一度に沢山の事を頼まれるのが嫌だ」
などの質問項目に「はい」と回答するかどうか
「客観的な判断基準」が無いというのがセルフチェックの弱点です。

自己認識の研究で有名なターシャユーリックが指摘するように
自分の事を正確に認識できている人は多くありません。
自己判断で

「自分は共感応力が他者より高いか?」
「感情移入しやすく、感動を感じやすいか?」
などを他者と比較して判断するのは、本来とても難しく
回答に「ムラや個人差・思い込み」が生じてしまう可能性があります。
さらに
- 失恋や自分が傷ついている時は他者への共感が増す。
- 傷ついている時は芸術作品などに心動かされる機会が増える。
- たまたま感動する映画を見て涙した印象が強く鮮明に残っている。
など、HSPのセルフテストを受けるときの状況・状態・タイミングも
結果に反映されてしまうことが考えられます。
教育や社会的なイメージも回答に影響してしまう
教育や社会的なイメージも回答に影響する可能性があります。
例えば、デンマークの心理療法士で自身もHSPであるイルサ・センによると
デンマーク人の女性はHSPで有ることをポジティブに受け取るため
多くの人がセルフテストに「はい」と回答する傾向がある
としています。

このように、自分の暮らす社会で、どのような気質が良いとされているのかも回答に影響する可能性があります。
という願望に自らの回答を寄せてしまう事が考えられるのです。

また教育も回答に影響する事が考えられます。
HSPの持つ繊細さは社会で求められる「男性像」とは真逆と言っていいかもしれません。

「男だから泣くんじゃない」
「もっと勇敢でリスクを恐れず行動しなさい」
など、男性らしさを強く求められる教育を受けた場合などは
自分の「敏感さ」を認めることができず
自分を偽って認識してしまう場合があります。
将来的に考えられるHSPかどうかを正確に知るための方法
本来、敏感さは誰しも持っているので、それが他者より高いかどうかは
「身体や脳・生理的反応」など客観的に外部から測定されるのが理想的です。

教育の影響で敏感さからくる身体の反応を無視するようになっている人には
「発汗・心拍数・筋肉の緊張・その他身体の反応を測定する」手法などが考えられます。
また
と思っている人に対しても
ミラーニューロンシステムなど脳の共感に関わる領域の活動が活発かを測定するほうがより正確だと思います。
ですが現在は脳のスキャンやfMRIでの撮影は高額なので、個人で行うのは現実的ではありません。
ですが将来的には、より客観的な指標を用いたHSP診断が開発されるだろうと期待しています。
まとめ
今回はHSPかの判断に多く使われるセルフチェックの問題点を解説しました。
HSPに限らず、心理・精神的な判断は
内科や外科の判断より客観的でなく曖昧で
内観や主観に頼っている面があります。
HSPだと自己認識することや、公表している方に
「あなたほんとにHSPなの?」とイチャモンを付ける意味でこの記事を書いたのではありません。
ただ、HSPというのはかなり新しい概念です。
HSPが100人いればそこには100タイプの種類が有ると思っています。
「HSP=こういうタイプの人間なんだ!」と固定して考えるのはリスクが有り
これから分かってくることや、課題もある研究分野であることを理解して
柔軟に理解していけたらと思います。