妬みは自分では気づけない?妬みが攻撃に変わる心理

妬みの七変化 アイキャッチ

妬みは自分では気づけない?妬みが攻撃に変わる心理

 

妬みは様々な行動の根元になる感情です。

 

ですが皆さんに「最近妬みを感じたのはいつですか?」と聞いても恐らくわからない方が多いのではないでしょうか。

 

 

過度に論理的な人

 

 

「あの人すっごく妬んでるな」と側から見たら分かるのに本人は気付いていないなんてことも。

 

それもそのはず、妬みは心で生まれてすぐ、本人の中で別の認識に置き換わっていまう「変化」の性質を持っているからです。

 

どうして妬みは変化してしまうのか、妬みが攻撃性に変わるプロセスついて解説します。

 

 

人を傷つける心―攻撃性の社会心理学 (セレクション社会心理学)

 

妬みを認めることができない

 

妬みが罪深い行動の核であり、頻繁に私たちの心の中に湧いてきているのに、それに気づけない場合がとても多くあります。

 

なぜ妬みとして受け入れられずに、他の認識に置き換わってしまうのか。

 

それは妬みをそのまま認めることが、次のような事実まで認めてしまうことになるからです。

 

妬みを認めると
  • 自分が劣っていると認めることになる
  • 敵意を認めることになる
  • 健全な自己イメージの崩壊

 

嫉妬と妬みの違い アイキャち

 

妬みは社会的にかなり強く規制され、自分の劣等感から相手に攻撃することはどの場面でも容認されていません。

 

妬みは社会的に醜い感情だとわかっているため、妬みを認めることで自分の品位を汚し、見苦しさまで認めてしまうことになります。

 

なので、妬んでいる自分を認めることは、健全なセルフイメージの崩壊につながります。

 

妬みの認識は変化する

 

そのため妬みは認められることなく他の認識に置き換わります。

 

妬んだ相手への憎しみや敵意を、自分の劣等感からくる妬みではなく、社会的評価のおかしさや不公平、相手の欠点であると自分の中で理由付けし正当化が行われるのです。

 

日本人の不安と協調性 アイキャッチ

 

社会的制裁としてはやり過ぎな週刊誌やワイドショーなど報道の仕方も、見ている側の妬みを刺激して、それを晴らすように上手く作られています。

 

妬みによる攻撃が起こる場面でよく使われるのが「相手に問題がある、相手は罰を受けるに相応しい」などの認識です。

 

下方比較 アイキャッチ

 

誹謗中傷なども、客観的に見ればどう見ても悪質な攻撃であるのは一目瞭然です。

 

ですが、誹謗中傷や攻撃を行っている方の妬みは、正義感や公平性、道徳的な罰に置き換わり、人を傷つけても良い理論が本人の中だけで完成しているのです。

 

 

悪性な妬みの心理プロセス

 

妬みには変幻自在の「変装の才能」があると主張するのが理論家のレスリー・ファーバーです。

 

妬みには自分の欲しい物が明確になり自分の原動力になる良性のものもあります。

 

成長

 

それに対して悪性の妬みは、妬みから来る劣等感や痛みを解消して、喜びを得るために行動してしまいます。

 

そんな醜い感情は自分でも認められませんし、社会的な行動の動機にも使えないので、以下のようなブロセスで変化していきます。

 

妬み→嫌悪→憎しみ→行動→快感

 

悪性の妬みはまず、憧れや、モチベーションになることなく嫌悪に移り変わります。

 

次に、その嫌悪が生まれた理由を自分以外のものに求め、そこから恨みや憎しみが湧きます。

 

 

ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ

 

ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ

憎しみは能動的な、妬みは受動的な不満である。それゆえ、妬みが急速に憎しみに移行するのも驚くに当たらない。

 

イギリスの哲学者バートラント・ラッセルは「幸福論の中で

「他人が持っているものから苦痛を引き出すのが妬みである」と述べています。

 

他人が持っているものから劣等感や不公平など、妬みや苦痛を感じ嫌悪が生まれます

 

嫌悪は自分が産み出したものであるため、理由を見つけ認識を改め直し、その認識を動機として憎しみが生まれます。

 

協調性の高い人ほど不寛容

 

派生した新たな認識があるために、妬み自体を認識することはとても困難になるのです。

 

その憎しみから行動が生まれ、見事に妬んでいた相手が恥をかいたり、不幸になると脳内で快楽物質が分泌され喜びを感じます。

 

 

この、相手が不幸になった時に感じる喜びのことを「シャーデンフロイデ」と呼びます。

 

 

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

 

 

集団vs個人で変化が強化される

 

集団心理の専門家ミーナ・シカラやプリンストン大学心理学教授スーザン・フィクス達によれば、妬みの心理変化が特に強まるのは「集団vs個人」の形が取られた時です。

 

妬みのように「利己的」で醜い動機が、集団になると、その「利己性」が隠れ集団のための大義名分が生まれ、責任も分散されるためです。

 

クラスで目立った子供を集団でイジメる、集団が個人をSNS上で攻撃することを炎上と呼んだりしますが、彼らが集団であることがさらに妬みの心理プロセスを強化しているようです。

 

集団

 

妬みを感じ、自分の劣等感を回復するために他者を攻撃する。

 

そんな「利己的」な行動は良くないと葛藤を抱く心理を持ちながらも、集団化してしまった途端「赤信号、皆んなで渡れば怖くない」状態になってしまうのです。

 

個人主義 集団主義 アイキャッチ

 

一人の芸能人に集団で誹謗中傷を行って炎上が起き、傷ついた芸能人が自ら最悪のケースを招いてしまうことが繰り返されています。

 

SNSという距離の遠い人とも直接つながれてしまうことで、妬みが起きやすく、集団になりやすい環境も要因と言えそうです。

 

嫉妬の力で世界は動く

 

まとめ

 

SNSでは会ったこともない人同士が、匿名と言う鎧を身に纏い感情のままに相手をダイレクトに攻撃することができます。

 

それが集団になると事態は悪化しやすく、最悪のケースまで起こる時代になりました。

 

ですが今更ネットやSNSを手放すのは難しいでしょう。

現代こそ妬みのような感情のプロセスを理解し、その危険性や対処の仕方を学ぶ時だと思います。

 

まとめ

  • 妬みを認めるのは難しい
  • 妬みは他の認識に変身する
  • 新しい認識は憎しみを晴らす動機になる
  • 妬んでいた相手が不幸になると喜びが生まれる
  • 集団は個人の利己性や責任を分散させる
  • 集団vs個人で攻撃性はさらに高まる

 

 

 

 

 

 

 

 

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