日本人の不安、協調性からくる妬みと不寛容:誹謗中傷が減らない要因

日本人の不安と協調性 アイキャッチ

日本人の不安、協調性からくる妬みと不寛容:誹謗中傷が減らない要因

 

国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が「世界幸福度報告書」世界幸福度ランキングを発表しています。

 

日本の幸福度は日米欧主要7ヵ国(G7)のなかでは最下位、2019年の58位から4位ランクを落として62位だそうです。

 

この原因として良く「福祉のレベルや教育水準」があげられるようですが、今回は遺伝的な側面からも日本人の不安の多さや高い協調性、そしてそれらがもたらす不寛容と誹謗中傷などの理由を考察したいと思います。

 

人を傷つける心―攻撃性の社会心理学 (セレクション社会心理学)

 

 

どうして日本人は不安傾向が強いのか

 

日本の歴代小説発行部数ランキング、いろいろな調査方があるようですが、各種出版社および新聞社の報告に大抵上位に入ってくるのは

 

  • ノルウェーの森(村上春樹)
  • こころ(夏目漱石)
  • 人間失格(太宰治)

 

など、現実的であったり、最後に自ら命を経つような、少し暗めの本が上位に食い込むことが多いです。

 

海外で上位に入っているワクワク興奮するような冒険やファンタジー要素の強いものとは違う傾向がみられるように感じます。

 

読書はソファーで

 

平成22年から令和元年で1万人も減少していますが、いまだに日本の自殺者数は年間2万人と多いです。

 

「日本人はネガティブすぎる」「日本の常識は世界の非常識だ」など

海外の方が日本の「不安」や「協調性」などの国民性を表現されることもあるようですが、その要因の一つを遺伝形質的で説明できるようです。

 

実験により、日本人は遺伝的に脳内のセロトニンの再利用率が少なく不安を感じやすい傾向があると示唆されています。

 

嫉妬する人

 

日本人は遺伝的に不安を感じやすい人が多い

日本人は

不安を感じにくくする効果もあるセロトニンという脳内物質を再利用するための「セロトニントランスポーター」というタンパク質の密度が低いことが分かっています。

 

セロトニントランスポーターの密度を決める遺伝子はS型L型があります。

 

そして「SS」「SL」「LL」の3タイプの組み合わせがあります。

 

S型ではセロトニントランスポーターの密度が低くなり、L型では高くなります。

 

日本人のセロトニントランスポータの遺伝子

 

なので「SS」タイプでは非常にセロトニントランスポーターの密度が低くなるわけです。

 

日本人はS型保有率が世界中でも高く、なんと7割近くが「SS]タイプです。

 

「SL」タイプも含めると98%がS型を保有しています。

 

逆に「LL]タイプは2%しかおらず、これほど極端にS型保持率が高い国は世界を見渡しても日本ぐらいだそうです。

 

成長

 

日本人に不安型が多い理由

 

日本人にたまたま不安型の人が多かったのではなく、日本では不安型の人の方が選ばれ、生き残りやすかったと考えることができるようです。

 

セロトニントランスポーター南アフリカやアメリカでは密度が高い人の割合が多くなっています。

 

これは移民国家では新しい土地への開拓精神、不安を感じずに新天地に向かうタイプの方が生き延び、そのような遺伝形質の人が選ばれてきたと考えられます。

 

日本は震災大国

 

しかし、日本のように震災や災害の多い島国では、開拓精神より予防対策や問題をチームで解決する不安=予防対策や、皆んなで対処する=協調性の方が重んじられたと推測できます。

 

実際に世界の陸地に占める日本の陸地面積は0.28%ほどですが、世界で起こる地震の20%近くは日本で起きています。

 

他にも台風や水害、木造建築が多いことで生じる火事など

日本では予防対策=不安型が多く選ばれ、それに集団で取り組む協調性がある人が選ばれてきたと考えられるようです。

 

その不安と協調性が、国際化し考えや、行動、選択、生活様式、善や美徳が多彩になった日本の現代、その情報がSNSなどで無限に入ってくる状況にマッチしない面が出てきているようです。

 

上手な説得

 

日本人は他人に厳しい

 

冒頭でご紹介した「世界幸福度報告書」世界幸福度ランキングは

まず自分の幸福度を0から10の10段階で主観的満足度(自己評価)を出してから

以下の6項目をそれぞれ分析した世論調査です。

 

調査項目
  1. ひとり当たりの国内総生産(GDP)
  2. 社会的支援・友人・新族(社会保障など)
  3. どれほど寿命まで健康的に生きられるか
  4. 人生で何をするか選択の自由があるか
  5. 他者への寛容さ
  6. 政府機関や企業に腐敗は蔓延しているか(信頼度)

 

この項目の中でも日本人が特に低いスコアだったのが「寛容さ」と「主観満足度」です。

 

主観的満足度」が低いことはなんとなく想像できますが、「寛容さ」のスコアが低いことを意外に思われた方がいるかもしれません。

 

近年寛容さ」の低さには日本人の多くが持つ「協調性」が関わっていることがわかってきました。

 

 

なぜ他人の不幸は蜜の味なのか

 

協調性の高い人ほど不正に厳しい

 

最後通牒ゲーム(さいごつうちょう)と呼ばれる行動実験があります。

 

簡単に説明すると。

 

最後通牒ゲームの解説
  1. AさんBさんの2人1組を作ります。
  2. Aさんに1万円を渡します。
  3. Aさんは1万円を好きな割合で、自分とBさんに分配できます。
  4. Bさんは分配の仕方を納得できなければ拒否できます。
  5. Bさんが拒否してしまうと二人ともお金はもらえません。

 

(1万円という金額は説明の例で、実際の実験ではリソースは異なる場合がある)

 

お金というリソースを分配する権利を持つA と拒否権を持つBで行うこのゲーム。

 

結論から言うと「A10000円:B0円」以外、Bは拒否権を発動しないのが最も合理的な判断と言えます。

 

例え「A9000円:B1000円」の不公平な分配であっても、相手が得するだけで、自分が損をした訳ではなく、拒否権を発動して何も得られないよりはいいからです。

 

実際このゲームを行うと、分配権を持っているAの取り分が7割を超えなければ、Bの拒否権の発動は2割程度になります。

 

しかし、Aの取り分が7割を超えたところで拒否権の発動は一気に8割を超えてきます。

 

拒否率は協調性の高い人ほど高い

 

こうした「拒否率の高い」傾向がある人の特徴はこれまで、攻撃的で、かつ衝動的に相手に敵意を持ちやすい性格の人だと考えられてきました。

 

しかし、実際に世界で一番使われている性格診断法、ビッグファイブテスト(5因子モデル)を使って調べてみると、拒否率が高くなる性格特性は協調性であることがわかったのです。

 

個人主義 集団主義 アイキャッチ

 

 

協調性の高い人は公共性やフェアである事を重んじるため、不正に対して罰を与えようとする傾向が強いのです。

 

そこが世界的な調査での「不寛容」につながっているのかもしれません。

 

進化 アイキャッチ

 

 

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)

 

出る杭を許さない協調性

 

2012年「アメリカ科学アカデミー紀要」にも掲載された京都大学大学院医学研究科の高橋英彦准教授の研究では。

 

義憤(ぎふん:道にはずれたことに対して発する怒り)に駆られて合理的でない判断をする協調性の高い人の脳には共通した特徴があることがわかりました。

 

それは、セロトニントランスポーターが少なかったのです。

 

 

 

つまり、協調性の高い人は楽観的な判断を下すのが苦手で、物事をいい加減に考えるのが苦手な他人が多く

 

きちんと準備や予防対策をする勤勉さと、不正やフェアでないことに対して、不合理で損をしてでも復讐する性質を示すようです。

 

 

協調性の高い人ほど不寛容

 

ここまでなら、正義感の強い真面目な人ですが、問題はここに匿名性が加わった時です。

 

協調性の高い人は匿名で意見の発信できるネット、特にSNSの世界では、目立っている人、輪から外れた行動をする人、不倫をした芸能人などを積極的に攻撃する、匿名警察のような振舞いを進んで行います。

 

妬みの七変化 アイキャッチ

 

この攻撃は妬んでいる対象、その対象への妬みが強いほどさらに強まります。

 

ですので、有名人や社長、国会議員や医者などのお金持ち、もしくは有名で目立っている人ほど妬まれやすく、恰好の標的になってしまうのです。

 

妬まれる人は恰好の標的

 

芸能人の不倫を批判したとろで、自分にはなんのメリットもなく、時間と体力の無駄、非合理的だとわかっていても止めることはできません。

 

なぜなら、このような調和や規律を乱した人、妬んでいた相手が攻撃されて、不幸になる時、脳の報酬系と言われるネットワークの一部「線条体」が活性化することがわかっています。

 

 

つまりネットでバッシングや誹謗中傷を行う人たちは、正義、公正などの名目で攻撃をしていますが、本人達の脳内ではお金をもらったり、美味しいご飯を御馳走してもらったときのような快楽が生まれているのです。

 

私が個人的に思うターゲーっとにされやすい人の例

  • 整形、タトゥー、奇抜な恰好など日本社会に馴染みのないもの、文化
  • ADHAなど軽度発達障害、LGBT、精神疾患など
  • 金持ち、有名人、挑戦的な活動をしている人
  • はっきりと意見を言う人、過去に過ちを犯した人

 

協調性の高さは、集団の秩序を守り、与えられた罰はルール違反の抑止力にはなります。

 

しかし、過度になってしまうと差別や、無理解、状況的要因を含まない決めつけ、不寛容などにつながります

 

不寛容自体が幸福度を下げる要因にもなります。

 

妬みや、人を攻撃して貶めることで、自分の社会的地位が向上したかのような優越感を感じすぎる事で得られる会館には中毒性があり、危険な領域に踏み入ってしまう場合も多いのです。

 

脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体

 

まとめ

 

日本と対照的なのがフランスの国民性かもしれません。

 

自分がやりたいことは人がどう感じようともするのがフランス人だそうです。

 

そのため、誰かの自由な行動で自分が迷惑をかけられることに寛容だといいます。

 

ミッテラン大統領が不倫をし、愛人について記者から質問を受けた際「それが何か?」と答え、差して問題にもならず、大統領の葬儀にはその愛人も参列したと言うエピソードがあるそうです。

 

協調性が悪い性格特性だとは思っていませんし、日本の治安の良さや秩序の支えになっていることも日々感じて享受しています。

 

ですが日本に誹謗中傷で傷つく人や、自殺者が多く、国民の幸福度が低いことも客観的な事実です。

 

日本の国民性を正しく理解し、活用するには性格特性の持ついい面と悪い面、危険性も知り、対応策や課題を受け止めていく必要があると感じました。

 

まとめ

  • 日本人は遺伝的にセロトニンを再利用しにくく不安が多い
  • 不安や協調性は日本で生きるために役立ってきた
  • 協調性は不正や公平でない事を許さない傾向がある
  • 協調性の高い人に匿名性が加わると、私刑や罰が過剰になることがある
  • 妬んでいた人が不幸になると脳は快楽を感じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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