不眠症の種類やパターンをざっくり説明!寝付けない、何度も目が覚める…

不眠症の診断基準アイキャッチ

 

睡眠障害は、国際診断基準だと80種類以上に分類されていて、色々な種類があり複雑な疾患グループです。

 

その中の一つであり、頻度が多く誰もがなる可能性のある「不眠症」について分類と種類を解説します。

不眠症のパターンなどの理解にお役に立てば幸いです。

不眠症の種類やパターンをざっくり説明!寝付けない、何度も目が覚める…

 

この記事は不眠症の解説が目的で、読んで頂いた方が不眠症か判断するような内容ではありません。

 

症状は必ず専門医に診断してもらいましょう

 

 

不眠症と睡眠不足の違い

 

まずは不眠症と寝不足の違いを医学的に解説します

 

寝不足とは

  • 寝る能力は備えているが睡眠が足りてない、睡眠の機会を与えていない

ことです。

 

眠ることはできるけど、何らかの理由であえて寝ていないのが睡眠不足です。

 

不眠症とは

  • 睡眠を発生させる能力が不十分であること
  • 自分に睡眠の機会を与えているのに眠れないこと

 

この二つが不眠症の定義です。

 

グリシン アイキャッチ

 

不眠症の種類

 

不眠症には、本当は眠れているけど、眠れていないように感じてしまう「逆説性不眠症」のように睡眠状態を把握出来ない症状や

 

遺伝により、プリオン蛋白の異常が原因で起こる「致死性家族性不眠症=FF1」のような珍しいタイプの不眠症までさまざまな種類があります。

 

一般的な不眠症を大きく2種類に分類すると以下の二つに分けられます

 

 

入眠障害型=なかなか寝付けない

 

入眠障害型はなかなか寝付けないタイプの不眠症です。

 

寝付けない夜を過ごしたことは皆さんも経験があると思います。

 

  • 精神的な不安や緊張
  • 光や刺激物による脳の覚醒が続いて
  • 体温や体内時計の調子が悪い

 

軽い副作用

 

寝付きの悪さが上記のような原因である場合、このブログで紹介した内容でも対処できる場合があるかもしれません、よろしければ参考にしてみてください。

 

睡眠の質を高めるアイキャッチ

 

 

睡眠維持障害型=夜の間に何度も目が覚める。

 

睡眠維持障害型は夜何度も目が覚めてしまうタイプの不眠症です。

 

また朝の早すぎる時間(目安は起きたい時間より2時間以上前)に目が覚める場合も睡眠維持障害に当てはまります。

 

タバコを吸われるかたや、寝酒をする方か、ニコチンやアルコールが切れてしまい目が覚めてしまうこともあるようです。

 

タバコも不眠の原因

 

水分の取りすぎや頻尿によって夜起きてしまう方も似たような辛さを抱えていると思いますが、その場合も不眠症と言えるのでしょうか?

 

不眠症の判断基準に当てはめて考えてみましょう。

 

 

不眠症の診断基準

 

明日が遠足で一晩眠ることが出来なかった子供は恐らく不眠症ではなく一時的な寝不足です。

 

では一ヶ月後に大事な試験や大会が控えていて、この2週間ほど緊張で眠れていない人は不眠症でしょうか?

 

緊張で眠れず

 

不眠症には明確な判断基準があります。早速基準をご紹介しょう。

 

不眠症の判断基準
  1. 睡眠の量、または質に不満を持っている
  2. 日中も極度のだるさや眠気が残る
  3. 週に3日以上不眠の状態になり、それが3ヶ月以上続いている
  4. 不眠症と似た症状が出るような心身の病気にはかかっていない

 

①睡眠の量、または質に不満を持っている

 

本人の自覚症状が必要です。

 

睡眠の質を確かめるポイントアイキャッチ

 

この項目だけの該当であれば、寝る際の温度管理や、昼間の覚醒をコントロールしたりする環境の対処法で解決する場合いもあるようです。

 

 

②日中も極度のだるさや眠気が残る

 

「日中も極度のだるさや眠気が残る」は少し感覚的な、個人によっても違うのではないかと思う表現ですが「睡眠障害国際分類第2版」によると以下の機能障害が一つでもあれば該当するようです。

 

  1. 倦怠感あるいは不定愁訴(検査をしても異常がないが、体調不良がある)
  2. 集中力、注意、記憶力に問題がある
  3. 社会的機能の障害
  4. 気分がよくない
  5. 焦った感じがする
  6. 日中の眠気がある
  7. やる気が起きない
  8. 仕事中、運転中のミスや事故の危険を感じる
  9. 睡眠不足のため緊張、頭痛、胃腸に症状がある
  10. 睡眠に関する不安がある

 

 

③週に3日以上不眠の状態になり、それが3ヶ月以上続いている

 

この基準は明確ではっきりした線引きではありますが、個人的には3ヶ月以上も待たずに診断が下るケースも耳にします。

 

この項目のチェックポイントは睡眠時間の短さよりも期間が基準になっていることだと思います。

 

転勤による職場環境の変化や寝具の変更などで一時的に寝不足になり、時間が解決してくれる要素は不眠症としないのではと推察します。

 

 

④不眠症と似た症状が出るような心身の病気にはかかっていない

 

この項目は素人や、個人で判断するのが難しい項目です。

 

不眠症と似た症状を挙げると

 

  • 過眠症
  • 睡眠呼吸障害
  • むずむず脚症候群
  • 周期性四肢運動障害
  • 概日リズム睡眠障害

などがあるようです。

 

呼吸器に問題があって眠れていない人に不眠症だからと睡眠薬を処方しても、呼吸器の問題を改善しないと眠れるようにはなりません。

 

また昼間の怠さや眠気が不眠症のせいでなく、過睡眠(ナルコレプシー)によるものなら全く別の対処をしなくてはいけなくなります。

 

 

不眠症かなと思った時の対処療法/不眠症の認知行動療法CBT-I

 

不眠症かと思ったら、できるだけ睡眠の専門医を受診されることをお勧めします。

 

どのお医者様、専門の先生も素晴らしい能力をお持ちだと思いますが、睡眠について知識の深い方に相談されるのが一番だと思います。

 

睡眠の専門医

 

私もそうですが、なるべく睡眠薬などは使用したくないと思う方にお勧めなのは、手頃なサプリか、不眠症の認知行動療法CBT-Iです。

 

眠るコアラ

 

日本では薬物治療が無効か部分寛解(ぶぶんかんかい=部分的な症状の減少)の時、休薬するときに併用療法としてCBT-Iを推奨しているようで、基本的には薬物治療の優先順位が高いようです。

 

アメリカでは2012年ごろから、睡眠薬を服用している患者のサンプルデータが1万人規模、十分な量集まり、睡眠薬の服用と死亡率やガン発生率、記憶力との相関において信頼できるレベルの調査報告が出始めています。

 

統計データが揃う

 

睡眠薬のリスク研究で有名なのはカリフォルニア大学サンディエゴ校のダニエル・クリプケ医師です。

 

睡眠薬のリスク面を詳しく知りたい方は「睡眠こそ最強の解決法である;マシュー・ウォーカー」の14章に詳しく説明されているので参考にしてみてください。

 

マシュー・ウォーカーさんも「睡眠薬は場合によっては必要ですし、自然な形ではありませんが眠ることはできます」とおしゃっていますが、睡眠薬のデメリット面も見直される時代に入ってきたという印象です。

 

米国内科学会や欧州睡眠学会が発行する不眠障害の治療ガイドラインでは睡眠薬では無くCBT-Iが第一選択肢に推奨されています。

 

学会も推奨

 

CBT-Iについて詳しく知りたい方は
日本睡眠学会教育委員会が2020年2月に刊行した「不眠症に対する認知行動療法マニュアル」を参考にしてみてください。

 

不眠症に対する認知行動療法マニュアル

 

 

まとめ

 

日本でもアメリカでも、慢性的に不眠の症状を抱えている人はおよそ20〜30%いるとされています。

 

冒頭でも解説しましたが、睡眠障害や睡眠の症状はかなり沢山の種類があり、素人判断で「私は〇〇不眠症なんだ」と断定してしまうのは大変リスクがあることです。

 

ですが日常生活では睡眠についての情報は少なく、どの段階で医療機関を受診するのか、どのくらいで不眠症状なのか個人の判断に委ねられています

 

今回不眠症の種類や診断基準をご紹介する事で、少しでも皆さんの行動や判断の助けになれば幸いです。

 

まとめ

  • 不眠症には大きく分けて、寝付きにくいタイプと、夜起きちゃうタイプがある
  • 不眠症には明確な判断基準がある
  • 欧米では不眠症の1次治療はCBT-Iが多くなってきている

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